28日深夜。そろそろ29日というときにそれは起こった。Appleのサービスから突然ログアウトさせられ、再ログインをしようにも自分のApple IDがはじかれて「有効なアカウントではない」と言われ……。最初はハッキングでもされたのかと焦ったiCloudの障害だ。少なくともわが家では、ふたりともiCloud関連のサービスにつなげない状態が14時間あったし、それぞれがMacとiPhoneで1台ずつエラーになっていたわけだから、精神的なものも含めて被害は大きめだった。
だが29日午後2時ころまでの状況が、ネット記事などで「一部の利用者」と書かれてしまうと「うちは100%だからよそでも100%だと思っていたのに一部かよー」と、あきれるやら悲しいやら。なぜかどのメディアも記事を書く人たちは被害に遭っていないらしく「聞いた話では」的な書き方である。だが旧Twitterなどではアクティブな人々の多くがなんじゃこりゃあと叫んでおり、最近はできるだけ距離を置いてBlueskyを優先させていたわたしも、ここぞとばかりに旧TwitterとBlueskyにこの件を書いた。要は「大元での問題としか思えないから発表があるまで様子を見ましょう」という意図である。
ところが29日午後2時ころになって、突然に直った。お知らせもなかったし、こちらも何もしていなかったのだが、iPhoneでiCloud経由のメールが受信箱にはいった。そこで確認すると、MacもiPhoneもどちらも直っていた。
Appleは何も発表していなかった。理由を知りたかったし、なぜ自分が「一部」のほうに回ったのかも興味があった。古くからのユーザがそうなったという説もネットではあったが、そうとばかりは言えないという声もあった。詳細は不明である。
だいたい、もしもこれがAppleでなくソフトバンクあたりであったなら、たとえ障害の影響が出たのが「一部」であったにせよ、もっとメディアは書いたのではないだろうか。Appleもこのまま何も発表を出さずに終わりにするつもりかもしれないが、世の中には生活の多くをiCloudに依存している人がいるはずだ。たとえば重要取引やログインの確認通知がAppleのメルアドになっている人もいるはずだし、メールに来た数字を使ってログインしろと言われてもAppleが落ちていたら話にならない。そういう人たちにとっては、悪夢の14時間だったはず。
わたしがオール電化住宅を嫌うのもこの理由で、何かひとつのサービスで屋内を仕切ろうとするとろくなことがないと考えている。電気が消えたらトイレの水も流せないとか、珈琲一杯のための湯も沸かせないとか、そういうのは考えただけで恐怖なのだ。
やはり、データを溜めておくことひとつ考えても、各社のサービスに似たようなものを預けておく習慣は必要だし、最近なにかと耳にするパスキーなどキーチェーンのサービスも、預けた先のサーバが落ちたらおしまいとだけは、覚えておくべきだろうと思う。
Apple、このまま何も発表しないのだろうか。腹が立つ。