DeepLで「大の苦手」という言葉がうまく翻訳されないことに気づいた。これはDeepL以外でも起こることのようだが、間違う仕組みとして……
リンゴが好きではない/リンゴが苦手である は、どちらも I do not like apples. と訳すことができる。だが「大の苦手」は、苦手の程度が「大」であると考えず、do not like と訳すと自分たちが決めているため do not 部分に否定の重点が移り、「それほど好きではない」という勘違いを、起こしやすいらしい。
hate や detest では強すぎるからと do not like を選んで、そこでドツボにはまってしまうのである。ちなみに do not like より dislike という単語は意味が強いので、それも避けているのだろう。
ところが、である。
このリンゴ部分をヘビに変えて「ヘビが大の苦手」と英訳すると、ヘビは嫌いな人が多いだろうからという判断なのか、DeepLほか翻訳サービスは、訳語の候補に hate を入れるのである。そういうことよりも、大の苦手は「本気で苦手」と、きちんとどこかに登録しておいてもらいたいものだ。
かつての辞書制作の現場やそれに基づいたアプリとは異なり、最近は大規模言語モデルでトレーニングをした表現を使っているのだろうから、世の中の大半がヘビに好感を持っているわけでもない以上は、上記のような「多くの人がよく書くこと」という流れで、勘違いが起きやすいのだろうな。(大規模言語モデルについての説明は → IT Media / AI・機械学習の用語辞典大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)とは?)