黒豆を煮るのは3時間くらいかかる。つきっきりでいると退屈するので、とろ火にしてときどき別の部屋に移動したり、あるいは近くで片づけものをするのが恒例。今年はときどき2階でパソコンをしながら、降りてきて台所で片付けをしつつ3時間を待った。
台所の隅からは、しばらく目にしていなかったパイ皿(安い一体型タイプ)が2枚、しばらく目にしていなかった製菓用品がいくつか、そしてもともとは高かったのに手入れが悪くてダメにしたかもしれないフッ素コーティングの焼き型が出てきた。いや、フッ素コーティングというのにサビのような何かがちらちら見えるというのは、もしや傷を付けて水分があるまま放置でもしたのか、どうしたらこんな器用なことができるのか。サビかどうかを、あとで手入れしつつ確認しなければいけない。もう売られていない型なのだ。
午後は近所に散歩。年の瀬で近所を歩いている人がほとんどいないが、スーパーのなかにはいると人がたくさん。日常的な買い物の場が家族のイベント会場であるかのごとく賑わっている。毎日のようにどこかしらの店によっているので別に買うものはなかったが、いちおう散歩がてらに店内を歩いていると、ある高齢の男性が大きめの声を出した。
どうやら一緒に来たご家族に対してなのだろうが、スマホを見つつ、「あと5分で雨が降ってくるから、買い物を5分以内に済ませてここを出よう」と。わたしが聞こえただけでも2回言った。今月はほとんどまったく雨が降っていなかったのでそれは珍しいと思うと同時に「5分で雨が降ってくるから5分以内に買い物を済ませて外に出ようというより、どうせ走り雨だろうからのんびり買い物をして雨宿りしよう」のほうがいいのではないかと、大きなお世話であるが考えた。
自分も傘は持っていないしベランダに出してある洗濯物が気になるのでスマホを見ると、軽い雨ですぐ止みそうだとわかった。いちおう家族に「万が一土砂降りになったら洗濯物を頼む」と伝えて、そのすぐ近くの別の店に移動し、15分ほどぶらぶらして店を出ると、もう雨は止むところだった。路面もほとんど濡れていないし、歩いている人は傘を使っている人いない人が半々くらいだった。
その後は何事もなく帰宅した。