フィギュアスケートのNHK杯で、高橋大輔、浅田真央の両選手が優勝して、またもや新聞の見出しは「アベック優勝」。このアベック、なぜフィギュアスケートのシーズンにばかり聞かれるのだろう。とっくの昔に死語のはずなのだが (^^; 。
わたしが子供のころ、アベックは男女が連れ立って一緒にいる様を表現する言葉で、その当時の大人たちが口にしていた。実際にはそのふたりが家族だろうが何だろうが、中身の問題ではなくて、パッと見が男女だったら「あのアベック」という使われ方だったと思う。逆に、知っている人を表現するのには、あまり使われなかった気がする。
(…たとえば知り合いに「おふたりさん、アベックでどこ行くの」なんて表現は、たぶんわたしの周囲では聞かれなかったような…いや、ちょっと自信ないか…何十年も前だし、東京暮らしのほうが長くなってしまったし)
聞けば意味がわかるが使わなくなった言葉というのは、たくさんある。使われなくなったことにはそれなりの理由もあり、いま思えば(話者の全員がそれを認識していたとは思えないしわたしも知らずに使っていたが)発端が差別意識だったものもある。
それらは、みんなが使わないことで言葉自体が消えてきて、あとの時代の人はあまり気づかずに暮らしていくようになる場合も多いだろう。ただ、言葉を生んだ意識そのものが薄れたのではなく、世の中がうるさいからと、言葉が別のものに置きかえられていくことがあるならば、より悪質になってしまうかもしれないが。
話をもどそう。
アベックは、なぜフィギュアスケートなど一部のスポーツの結果報道に使われるのだろう。たしかに「男女そろって優勝」よりは、カタカナのはいったまとまりのよい名詞になっている。ペアで優勝だと、ペアで(ふたりセットで)ひとつの競技をしたように誤解されるかもしれない。う〜む、語呂がよくて男女そろった意味の単語は、アベックしか、ないのか?(笑)。
今後も冬のシーズンに、毎年のように若い人たちが「アベック優勝って何」と質問する機会があるかもしれない。そしてフィギュアスケートのみなさんには、これからもずっとがんばっていただき、たくさんの成績を残していただきたい。