事件は悲惨で、背景も異様で、全体としては少しも軽い要素などないのに、マスコミには毎度のこと驚かされる。容疑者が見つかると育った場所に出かけていって卒業文集を読み上げたり、同級生に話を聞いたりと、そんなのばかりだ。
だいたい、3年くらいでじゅうぶんに人は変わるわけで、幼少時の面影しか語れないような同級生に何かしゃべらせたところで、意味があるとは思えない。だがおそらく、他社と同じ事をとりあえず聞いて回った上で独自色を出せそうなら出したいという、その程度の考えなのだろうな。
それにしても、さきほどのニュース番組(どこだったろう、報道ステーションだろうか?)にて、身の毛もよだつ話をしていた。
今回の神戸での事件で死体遺棄で逮捕された容疑者は、かつてドライブ先で、無理やり関係を持とうとした女性の首を絞め、相手が亡くなったと思いこんで山に放置した過去があるのだという。当時の雇い主が、被害女性とその知人、そして今回の容疑者との示談をとりもったのだとか。
強姦未遂、殺人未遂、あげくに亡くなったと思いこんでの遺棄というのは、どこをどう間違ったら示談で済まそうなどという話になるのか、見当もつかない。仮に被害女性とその知人とが話を大げさにしていたという疑念の余地はあるかもしれないが、それにしても、これだけの事件であれば、示談などという言葉は逆立ちしても出てこないはずだ。当時の雇い主の言葉として、自分が警察に話す勇気があったら今回の事件は起こらなかったという反省の弁もあったが、想像できる範囲の事情を考えてみても、やはり表沙汰にしないことは、普通ではないように思う。
容疑者の過去はほどほどにして、マスコミにはもう少し落ち着いた内容の放送をお願いしたい。