トミー・リー・ジョーンズ監督・主演作品。
アメリカのテキサス州に不法入国しカウボーイをしていたメキシコ人、メルキアデス・エストラーダが銃で撃たれ殺害された。死体は犯人の手によって埋められた(1度目の埋葬)。
立場が立場であるせいか、地元警察はろくな捜査もせずにさっさと埋葬してしまう(2度目の埋葬)。友人であったピート・パーキンス(演:トミー・リー・ジョーンズ)は、エストラーダが望んでいた形での真の埋葬をするため、誰も追及しようとしない犯人を脅して引きずるように、死体と3人で旅に出る。
最初は時間軸が交差する演出(時間をときどきもどしながら事件の詳細と状況をあきらかにしていく)に慣れず、「21グラム」や「メメント」などを思い出したのだが、あとで知ったところによると脚本は「21グラム」の人だったようだ。
メルキアデス・エストラーダを殺してしまった男に、バリー・ペッパー。この役者さんは名前は平凡だが(←失礼)、個性的な顔立ちと長身で、一度見るとかなり記憶に残る。これまで「アンノウン」、「25時」、「プライベート・ライアン」などで見かけた。
トミー・リー・ジョーンズ演じるピートが、単に約束を守りたい頑固な男というのを通りこして、緩やかに、狂気への坂をくだっていく。
すべての人々が、心の均衡をたもつぎりぎりのところに立っている…そんな思いに駆られた。