高円寺から2駅なのに、降りたことがほとんどない東中野。今日は「フタバから遠く離れて 第二部」の映画を見るために、降りてみた。
いつも電車の窓から見ていた線路脇の道沿いに、ポレポレ東中野はあった。連れが「このあたりのはず」と言ってくれたおかげで目にはいったが、地下なので見つけにくい。だが雰囲気はよかった。映画もまた、話題作なので満員かと思ったが、昼の13時の上映でだいたい5割。しかも監督のトークショーがついていた。どちらもたいへん意義深く、楽しめた。ぜひ多くの人に見てもらいたい映画だと思う。
ほとんどは、人と人との会話である。避難している人の声、人々の様子、町議会など町に関すること、どこもほんとうに声が中心だ。
まったく本題からはずれるが、わたしは義父母が岩手の言葉を話したため、かなり苦労した経験がある。義父が存命のころは、わたしが一緒だとゆっくり話してくれるなどの配慮があったが、地元の狭い地域をまったく離れたことのないままに震災後の数ヶ月で東京に引き取られた義母は、地元の言葉以外をまったく話さない。同居してこの3年半で、わたしはかなり言語を習得してしまったようだ。
福島の言葉と岩手の言葉は、通じるものも多く、映画を見ながら「こんな場所に字幕(標準語)を入れるのではなく、ほかの場所にしてあげたほうが通じやすいのに」と、もどかしく思っていたが、気づいたら「字幕がそこに出ているのかどうかすら」気にしていなかった。ほとんど頭に直結で言葉がはいってきていた。おそらく震災前のわたしが同じものを見た場合よりも、イントネーションや間(ま)の取り方から様子が伝わった現在のほうが、よく吸収できたはずだ。よい経験になった。
さて、東中野だが、駅はこぢんまりとしている。いちおう西側の改札は少し駅ビルのような作りになっていて、名前のアトレヴィになっているが、そこから受ける印象と、駅をほんの少し離れてビルや店をながめた印象は、まったく異なる。駅だけちょっと近代的、あとは以前の、よくあのあたりにあった光景が残る。たしか、通りを少し北上すれば地下鉄東西線の落合(おちあい)に出るはずだ。落合もそういえば、地下を商店街のように充実させる計画を持っているらしいと聞いた。
わたしの徒歩圏内の(とか言いながら横着をしてバスに乗ることも多い)JR中野駅界隈は、どんどんと開発が進められている。駅舎の上をビル化こそしていないが、出てまもなくの場所を開発していくらしい。この数年で大学が増えて、いきなり栄えてしまった。お昼時にあの界隈を歩くと、大勢の人が昼食や買い物のため通りを歩き、ちょっと新鮮。これでは、まるで都会ではないかっ。すごいすごい。
阿佐ヶ谷にも、なんと駅にクリスピー・クリーム・ドーナツができてしまった。高円寺はマイペースだが、駅ビルはなくとも乗降客は阿佐ヶ谷より多いらしい。適度にがんばってくれ、高円寺。