いまにはじまった話ではないのだが、日本のテレビ報道では、無難なシーンばかりを選んで流している。たとえば戦場や、最近の香港でのデモ排除による流血沙汰や、アメリカの都市部で現在頻発している人種差別反対デモ。それらには、かなり暴動に近い場所もあるという。かなりの騒ぎになっている場面もあるはずだが、日本で普通にテレビ報道を見ているかぎり、映像としてそれら緊迫感や恐怖が実感できるようなニュースには、あまりお目にかからない。
子供が見るかもしれないからというのならば、夜の9時以降のニュース用とそれ以外の時間帯で映像を分けるなどの工夫をするか、あるいは有料のニュース専門チャンネルなどでは、誰か大人が選局していないかぎり「たまたま子供が見る」確率は低いだろうから、そういう場所で流してもいい。とにかく「もっと実感できる映像があってもいいのでは」と、思うのだ。
画面の前で不快な思いをする人への配慮も必要だが、あまり過敏になりすぎてもまた、物事の本質を見誤ってしまいそうだ。