全国で空き家の占める割合は13.5%だそうである。
(参考:東京新聞 2014.12.04 増加する空き家 光田洋子(マネージャーナリスト)
ところがこの数年の新築ブームといったら、異常なほどだ。東京だけとは思えないのだが、いかがだろう。中野・杉並など中央線沿線に関してならば、JR中野駅周辺に大学が増えてアパートなど小規模賃貸住宅が増えるのは、まだわかる。だが集合住宅以外にも、工事中を探そうと思っているわけでもなくただ見つかるのが、新築工事中の民家。数十メートルに1軒くらい目にはいることも。これはもう、ニーズを上回る供給数と考えても、おかしくないのではないだろうか。
たしか住宅のエコポイント制度というのが最近あったと思う。数年前ならその駆け込み需要だろうとも考えられたが、あれよというまに空き家を更地にして新築を建て、建売住宅のノボリを出しているしている最近の例は、失礼ながら「いつはじけるんだこのバブル」と、自分が売り手でも買い手でも建築関係者でもないのに、勝手に警戒心を抱いてしまうレベルだ。
2020年の東京オリンピックの影響で、全国の建築業者、作業請負業者が、東京に来ているそうである。景気がよくなると信じている人たちが建築物(はこもの)にこだわるのは、いつの世も同じだが、過去に学ぶべきことは、ないのだろうか。数週間の祭典が過ぎれば、巨大な空間が残るのだ。せいぜいこの20年くらいの範囲内で考えただけでも、オリンピックの数年後には、映画のロケ後の廃墟セットのようになっている土地が話題になる。
日本では他国にくらべて「マイホーム取得」が人生の大きな節目であるとの考え(ある意味で執着)が大きかった時代が長く、なにかにつけて「家庭=家族が住む家」という物理的な意味での紐付けができやすい土壌があると思う。だがもう、そういう時代ではない。自分の身の丈に遭ったサイズの住居で、賃貸かどうかにこだわらず暮らしていくことを、幸せと思う人も増えてきているはずだ。
日本の経済が「建築物」もしくは「形に残るものを人に売る」という点にいまだこだわりつづけていることは、実際の人々の考えとずれが大きくなってからでさえ軌道修正が難しい事実を、如実に示している気がする。
相続した土地を更地にすると税金が高くなるので、廃屋のままにしておく事例があると聞いている。廃墟として結果的に放置するか、または度胸を出してすぐさま買い手がつくように新築物件にしてしまうのか、迷うところではあるだろう。だがこれらは自治体や国の采配でいかようにも改善される気がする。
わたしとしては、更地にして芝生を植えベンチを置いて一般人に公園として提供したら税金を格安にするという規定でもできたほうが、いつ売れるかどうかわからない建売住宅の乱立より、よほど人々は気楽に決断できて、しかも廃墟削減対策になると考える。廃墟になってから自治体が対応に苦慮するより、よほどよいと思う。