データが消えたっ…? こんな思いをしたのは何年ぶりだろう。ハードディスクが壊れたなどの事情でならば何度か経験しているが、まったく意味不明な消え方をしたのだから、ショックがでかい。復活させられるとわかるまで、時間にして約10分ほどだったが、頭がほんとうに真っ白になった。
この数ヶ月、Mac2台で Tap Forms というデータベースを使っているのだが、なんとなく「別料金になってもいいからiPhone版を入れてみようかな」と、思った。Mac版は3000円くらいだが、iPhone版とiPad版がそれぞれ900円ずつ別料金なのだ。iPadよりはiPhoneだろうと思い、AppStoreで900円をポチッと。
アプリをダウンロードし、それを起動させてほどなくiCloud同期がはじまった。初期設定ではいっている参考フォームの数が膨大で、うんざりする。自分の作った簡易フォーム数種類以外で作業をするつもりはないので、あとで消そうと思っていたところ、目の前のMacBook Proに立ち上げていた同ソフトには、iCloud経由でコピーされたらしく、それらのゴミ(失礼)無駄フォームが、どんどんとはいってきてしまった。なんだこんなものまで即座に反映するとは、あっけないほどスムーズだなぁと、拍子抜け。いちおう両方の画面からiCloudへの接続が問題ないことを確認して、しばし待つ。
ところが待てど暮らせど、パソコン側にある独自のデータたちがiPhoneに反映されない。その代わり、iPhone側で遠慮なく消しまくった無駄なサンプルフォームたちは、Mac上からも消えているようだ。つまり連携は、片道だけばっちり成功しているということらしい。
iPhone上から何度かiCloudへの接続を手動で促したが、変化なし。このソフトは外国のもので、日本語化に当たって日本語ネイティブも協力しているが、質問があったら英語でしなければいけないため、ネット上にあまり細かい情報はない。だから自分で試行錯誤するしかないわけだが、待っていても仕方ないので「じゃ、一番大事なファイルだけでも、手動でiPhoneにコピーするか」ということに。
どの端末でもよく使うのはバウムクーヘンのデータファイルなので、バウムクーヘンのフォームとデータを書き出してiCloudに載せ、それをiPhoneに吸い上げてみた。ところがなぜか10件しかないことになっているし、レイアウトもぐしゃぐしゃ、画像もない。これは困ったなと、最初からぜんぶやりなおしてみようと思い、何気なく、iPhoneに吸い上げたその10件だけの不完全データを消した…その直後の悲劇——
なんと、目の前のMacBook Proに出ていた画面から、またたくまにバウムクーヘンが10件消失…げっ、あんな不完全な状態だから、そのフォームが連携に失敗していたのだと思っていた。だから安心して「iPhone側からのみ消した」という認識だったのだが、それどころか、直後に別マシンにまで消去が反映されてしまった。冗談よしてくれ、大事なファイルなんだ、バウムクーヘンなんだぞ。バウムクーヘンがーっ!!
いまから思うとだが、そのときファイルを経由させたのがiCloudだったのがよくなかったのだろう。このソフトは普段からiCloudでマシン間のデータをやりとりしているわけだから、失敗だろうと成功だろうと、同じソフト由来のファイルがiCloudにあったら、それを読んで編集してしまう可能性が高い。
そう、いまから思えば、思いつきの実験ならデフォルトとは異なるストレージサービス(たとえばこのソフトはDrop Boxにも対応している)を使ってファイルをやりとりすれば、問題なかったのだ。仮にiPhone上で操作ミスや誤編集があっても、Drop Box側に載せたファイルはTap Forms側から参照されたのみなので、編集されることはない。Drop Boxなどデフォルト以外のサービスを経由させていたのなら、無傷でその場に残ったはずなのだ。
そんなことを思ったのは、騒ぎが落ち着いてからだ。まず、つい最近Time Machineを開始してあったので、バックアップは万全。いざとなったら関連フォルダを1時間もどせばなんとかなると思った。だから安心して解決策を探そうと、あれやこれやと、ファイルを触っていた。
どうにか、パソコン側でバウムクーヘンのデータを修復。かなりましな状態になり(そのときは気づかなかったが画像の整理をあとでしなければならず、少し時間を食ったものの)、事態はおおむね良好。あとはiPhone版にデータを移動させる手段が見つかれば、900円が無駄にならずに済む。
iPhone側のアプリをいったん削除してやりなおしてみたり、iCloudの接続を切ったり入れたり何度もやってみたが、動作が不安定。ときどき強制終了も起こる。やはり使わない方がいいのだろうか。アプリのバージョンアップがあるまで、このままにしておこうか——あれこれ考えているうち、妙なことが起こった。
何度目かわからない、iCloudの接続解除と再接続で、な〜んも特別なことはしていないのに、Mac側のデータがすべて(バウムクーヘン以外のファイルもすべて)、iPhone側にやってきた。なんじゃこりゃー。すべてを含めて、1時間くらい損をした計算になる。めでたいが、意味不明。え〜っ?
たしかに、このソフトには「iCloud同期を初期化する」というボタンがあり、それを押せば同期に関する不具合が解決されることがあるのだが、以前に2台のMac間でほんの1日とはいえこれを押したあとに挙動不審になったことがあったし、時間もそれなりにかかる。どうしても今回は、押さずになんとか対処してみたかったのだ。
だが、こういうことであるなら、度胸を出して「iCloud同期を初期化する」を押しておけばよかったのかなと、そんな気がしないでもない。まあ、いずれにせよ、あいだに休憩をはさみつつ正味1時間程度のドキドキではあったが、無事にデータが共有できたわけで大きな被害はなく、よかったと思う。
これからは、iCloudのほかに複数の手段でデータを守っていこうと思う。手動でもとっておくようにしないと。
みなさんからもデータをいただいているバウムクーヘン関連の情報整理は、自分のライフワークではないかと思っているので、これからも充実させていきたい。