地方で美味しいと話題の菓子店が東京に催事でやってくると、たまに「あーこれじゃ無理」と思ってしまうことがある。それは、ほとんどの場合は販売方法。たとえばロールケーキが話題の店がロングの普通サイズでしか売らないのは、東京ではわざわざ客を減らしてしまいかねないほどに致命的ではないだろうか。ロングのほかに、せめてハーフか、できればスライスをした上での2〜3切れカット販売、そのくらいの手間は惜しまずにいていただきたい。でないと、東京の人間には買いづらく、とっつきにくく感じられる。
どれほどそれがすばらしい味でも、どれほどその販売スタイルが(地元では)当たり前でも、味を知られることなく売り上げも伸びないのでは、なかなかお店としてもつらいものがあるだろう。ぜひ小型化のご検討を(^^)。
今日たまたま、アイスクリームのレディーボーデンが小型の商品を数種類用意して値段をおさえて販売予定という記事を見かけた。そうなのだ、1リットルサイズのアイスをスプーンですくって盛りつけて食べるのを好むご家庭もあるのかもしれないが、わたしが想像するに、東京人はミニサイズや個包装を好む。最初から小さければ気が楽だ。わたしなどは小さいサイズのものを2種類目の前に出して、さらにそれを半々ずつわけあうこともある。量より味の種類だ。ほんの少しを数種類食べたいのだ。
(参考リンク:2015.02.12 えん食べ → 適量&お手頃価格の『大人のひととき レディーボーデン』シリーズ、ロッテアイスから )
クリスマスケーキなども、数十年前の田舎では直径18cmくらいのサイズを買ってきて家族みんなで切り分けて食べる光景が多く見られていたように思うが、いまはどうなのだろうか。5人以上いらっしゃるご家庭は別かもしれないが、だいたい2〜3人の家族なら、12cmくらいのものをカットして食べるか、あるいは個サイズを数種類買って食べることもあるのではと思う。
ケーキの話題ではピンと来ない方がいらっしゃるなら、例を変えよう。
スーパーでは、いろいろな種類の野菜や具材がほんの少しずつだけアルミの簡易パックにはいた、そのままガスコンロに載せられるような「おひとりさま鍋」が売られている。まさにあれである。ひとり暮らしでも鍋が楽しめる、あの利便性。仮に、どれだけ美味しい鍋料理の素であっても、通販の際に「全量を解凍してそっくり鍋に入れて」となっていたら、単身者は気後れしてしまうだろう。だが「少人数分 x 3パックになっています」と書かれていれば、手間やコストはかかるが客は買う、その理屈だ。
大人数で食事をするにも、日本には以前から、個人の前に出されたお膳を楽しむ食事方法があった。もちろん、ひとつの食材を囲んでとりわけながら食べる料理もあるかもしれないが(たとえば鍋料理、中華のような大皿料理)、どちらもそれぞれの状況や場を提供する人の考え方によって、自然な形で成り立ってきている。個を大事にするのがとりたてて最近のものであったり都会的なものであるということではなく、個のほうが気楽で合理的と思えるライフスタイルが、定着してきたのではないかなと、そんな風に思っている。