何年か前、わたしが何度か買い物をしたり、銀座のわりとよい立地にあった甘味処であんみつを食べた「東京羊羹」が、規模を大幅に縮小していることに気づいた。そんころはまだ完全に閉店ではなかったが、だいぶ縮小したなと、感じた。
規模を縮小した印象を受けても、楽天市場で羊羹などを販売していたのを覚えている。
わたしが東京に出てまもなく(30年近く前)に寄ったことがある東京羊羹の甘味処は、銀座4丁目から新橋方向に数分歩いただけという、すばらしく土地代が高そうな場所にあった自社ビルだった。店内は家庭的な見晴らしのよい階段構造になっていて、客は空席を探しながら上下の階に視線を泳がせつつ、立体的に移動できるものだった。
だが数年前にわたしが検索で見たのは、もうちょっと銀座のはずれ(おそらく銀座一丁目から京橋にかけて)にある別ビルだった。家賃はそちらのほうが安そうだなと、感じた。
そして今日、もう検索に引っかからないかなと(閉店しているのではないかと)思いつつ、Googleで「東京羊羹」と売ってみると、なんと、閉店の挨拶を2年前に書いたまま、そのままの状態でサイトが継続していた。
機材の老朽化が一番の閉店理由だったらしいが、あれだけ店舗数も多く、一時期は銀座の一等地に自社ビルで甘味処を開いていたのだから、縮小から閉店までの決意には、ほかのご事情もあったに違いない。
古ければよいというわけではないが、長くつづいている店にはそれなりの安心感がある。一朝一夕に出せるものではない落ち着いた雰囲気もある。
これからますます飲食業界はたいへんだと思うが、ぜひ甘味処には、がんばっていただきたい。