先日、どこかのサイトにあった「市販のかき氷のシロップは香料以外は原材料が同じ」という記事がよく読まれていたらしい。Facebook上でも知り合いが「いいね!」を押すたび、目の前を何度も流れていった。
自分の数十年前の記憶をたぐっていける範囲でだが、レモン味だけは違っていたと感じている…あれは香料だけではなく酸味を増やしているから、いちおう「味が違う」といえると思う。あとはわからない。ご関心のある方が、目隠しして実際に試していただければよいかと…(^^)。
さて、この件で思い出したのが、ええと、どれくらい前だろう——10年以上は経っているだろうか、外国の人に日本の上生菓子などを食べてもらったときの感想VTRをテレビで見たときのことだ。
食べた外国の数名から「味がみんな同じ」という声が聞こえてきて、驚いた。そのときのわたしの正直な感想を書くと「そんなの当たり前じゃないか、原材料が同じで、それをうさぎにしたり、あるいは精緻な花びらなど工芸細工のように仕上げているもので、そもそもの話として、ひとり何個も食べるものじゃない、見て楽しんだら1個か2個で終わりにするものだ、なにを言ってるんだ」…。
だが、そんなことは和菓子の製法や原材料に興味がある人間の理屈であり、外国の人にしてみれば「味が違うに違いない」と、思えてしまうのも、無理からぬことなのだろうか。う〜む。でもそれ、そういう感想が仮にあったからといって、日本側が対応する必要があるのかどうか、そうまでして外国ウケする菓子を食べてもらおうと考える必要はないようにも思え、気分は複雑である。本音を言えば、食べる側にこちら側に慣れてもらいたいし、あるいは日本とは違う「日本っぽい菓子」ということで、日本以外で発展させていってもらえたらと思う。
ヨーロッパでは、おおむね、日本の洋菓子店にあるようなサイズの菓子はほとんど見かけず、どれも巨大である。甘いのにあれほどの量をぺろっと一度に食べないと食べた気がしないのだろうかと考えたりもするが、どうもいろいろな方の話を聞くと、住んでいる期間が長いとそれに慣れてしまって、日本の洋菓子店のケーキたちがミニチュアに見えて仕方がないそうだ。やはり、そういった別の文化圏から来たひとたちには、日本の上生菓子を1個だけ食べるというのは、納得ができないのかもしれない(^^;。