5000%というとピンとこない人が多いかもしれないが、コンビニで1個108円で買っていたプッチンプリンが、量がそのままで、次の日に5400円になっていた、という話だ。
最初に断っておくと、かつて日本の弁護士が立候補について「20000%ない」などとテレビの前で語った迷言ではなく、いまから書こうとしているのは、ほんとうに5000%の話。アメリカで、とある薬が13.5ドルから750ドルに値上げされたという、とんでもない実話だ。
横暴も横暴だが、これ、はたして合法なのだろうか。ほんとうに、あり得ない話と思う。
CBS news 2015.09.22 CEO: 5,000-percent drug price hike “not excessive at all”
その薬とは、62年前に寄生虫による感染症(トキソプラズマ症)の薬として開発されたもので、最近ではエイズなど免疫不全の症状に効果がある薬としても使われている Daraprim (ダラプリムと読むはず)。これだけ異常な値上げを発表した製薬会社CEOはインタビューに対し「いままでが安すぎたんですよ」だそうだが、それにしても常識を何十倍にも拡大解釈したところで、この数字は、ないだろう。
また同氏によれば、この70年くらい新薬の進歩がなかった分野においてどんどんと開発の可能性を広げていくとのことだが、当然のことながら、なんで現在の患者がその研究開発を自分の財布から負担しなければならないのかという反対意見は、強くなっていくと思われる。
先に現在の患者からカネをとっておくという話は、聞いたことがない。うまくいった薬が将来よく売れたら、その薬で将来の患者から費用を回収していくべきというのが、普通の人間の発想順序ではないだろうか。