家に、固定電話回線は2本ある。通話は受信のみで、発信はケータイであるが、ファックスを送信しなければならないときは固定電話を使う。以前はどちらの回線にもファックスを付けていたのだが、最近ではわたしのほうの回線は通話用の子機のみ(本体は子機を呼び出すだけのもので通話機能なし)にして、ファックスを外してしまった。
今日、もう1本の回線のほうから某菓子店に注文のファックスを入れた。その直後に「あっ、こちらからすぐ電話をしておかないと、普通の人は注文に記載の電話番号からファックスが発信されたと思い、ファックスで返事をしようとするに違いない」と、あわてて電話。先方にこちらから「いまファックスを送った者ですが」と伝え、注文を確定させた。よかった、気づいて。大きめの企業でもなければ、家庭用ならまずファックスは通話の回線と兼用しているものだ。
以前から何度か書いているような気もするが、今後ファックスは、どうなるのだろう。メールやインターネットを活用するつもりのない中小規模の店舗は、今後も愛用するのではないかと思うが(おそらく仕入れ業者とのやりとりでもファックスは現役と想像する)、消費者のほうが「ファックスってなにー?」、「メールじゃだめなのー?」、「電話しなくちゃだめなのー?」、「ネット通販でボタンひとつにしてもらえないのー?」という方向に流れていくだろうし、意識の差は開いていくものではないかと思う。
ネットで菓子店のサイトを見ていると「メールで相談できます」と書いてあるところもあれば、「電話とファックスのみ」、「ファックスのみ」、「電話のみ」のほか、対応に疲れてしまったのか、それ以前にはなかったつれない表現「地方発送はしていません」、「店頭販売のみ」が大きく追加されることもあったりする。何か嫌なことがあったのかなぁと、見ているだけの人間には想像するしかないが、店によってはあっというまに方針が変わるので、少しでも気になる店が「お問い合わせください」と書いてあったら、タイミングをいっさい見逃さず、たとえそのとき菓子の在庫がやまほどあっても飛びついておくのが得策。——メタボのリスク、虫歯のリスク、財布の危機は、ひとまずおいといて、である。
最近ではケータイの通話料が定額になった人も多いせいか(わたしも10分以内に切れば定額料金)、以前ほど電話注文に抵抗を感じるという話も聞かないし、わたし自身も度胸を出して電話をかけることがあるのだが、けっこう精神的なハードルが高い。何時が一番迷惑にならないのかとか、余計なことを考えてどきどきすることもある。
やはり、今後も家庭用ファックスがずっとある世の中とは思いづらいので(そして固定電話そのものも激減すると思うので)、菓子店にはせめて1日1回でいいからメールを読む人がいてくれたら、相談しやすいような気がするが…。
もし、安価に実現できるなら、どこかのサイトで「文章を作ってPDFにし、それを先方のファックスに送信して、返事をPDF変換してそのサイトに表示させる、読むのはパソコンやケータイでできる」というサービスをしてくれると、ありがたいような気がする。もしパソコンにいったんファイルを引き取って編集してからサイトにもどせるのであれば、手書きで注文や備考を書き加える必要もない——ああ、でも、そんな第三者のサービスを利用するくらいだったら、使うときだけ誰かのファックスを借りて送信すればいいということか。それにそんなサービス、高額の設定にすれば利用が伸び悩むし、低額にしたら利益が出ないだろう。
聞けば出版や活字など古くからの業界もゲラをファックスではなくPDFでやりとりすることが増えたし、やはりファックス自体が(家庭用かどうかに限らず)、登場の出番が減っていることには違いあるまい。