高円寺の駅を出てすぐのところに、以前はかなり大きな店構えで文房具を売る店があった。それが、どれくらい前だろう…10年くらい経つかもしれない。その店は広々とした店舗をPronto(カフェのチェーン)に譲り、自分の店は規模を縮小して、そのビルの裏手にひっそりと隠れるように移動してしまったのだ。おそらく地元に長い人間ならばあの店はどこに移動したのかと気にして訪ねていけるが、そうでない人は、高円寺には文房具屋がなくなったと感じているかもしれない。
実際のところ、書店、文房具店などは、どんどんと姿を消している。高円寺に限らず、東京に限らず、おそらくどこもそうなのではないだろうか。目立つ場所はカフェになったり安価な服を売る店、あるいは携帯電話屋などになる。どこも味気なくなった。
今日は知人に頼まれていたボールペンを買いに出かけたのだ。最初は別の用事で出かけていた阿佐ヶ谷の駅前で、コンビニや100円ショップなどでボールペンを見ていたのだが、どの店も「黒」ばかりが充実。あるいは100円ショップの場合、カラフルな8色が1セットで108円(さすがにそんな安物を人様に渡せない ^^;)とか、1本に3色か4色はいった太めのボールペンが数本セットで108円とか(これもちょっと ^^;)…そしてセブンイレブンの文房具の棚に関しては、中身はぜんぶ黒なのにボディの色が何種類もある意味不明なラインナップ(笑)。あれ、ぜったい中身がそのボディの色だと思って買う人がいるだろうな。人騒がせだ。
というわけで、探せばもしかしたら阿佐ヶ谷にもちゃんとした文房具店があるのかもしれないが、バスで家に帰るのをやめて電車で高円寺に移動し、駅前のその店でボールペンを買ってから、徒歩で帰宅することにした。
店にはいったら、各色のボールペンがよく見える場所で出迎えてくれた。芯の太さ違い、キャップ式かノック式かの違いなど、さまざまに置かれているし、さらにはインクの替え芯もきっちりと在庫。本体が長持ちした場合は、インクの芯だけ必要なときには買い足すこともできる。やはり「たかが文房具」と考えず、使い捨て感覚ではない、丁寧な付き合いをしていけることが大切と思う。
最近ちょっと文房具に興味がある。直筆は下手で下手でどうしようもないのだが、人様にバウムクーヘンなど共同購入の荷物を送る際は、初めての人にはメモと名刺、慣れている人にも、メモくらいは付けるように努力している。すると、だんだんと「こんな字は恥ずかしい」という気持ちよりも、「このメモ帳を使いたい」とか「この一筆箋はなかなかお買い得だった」とか、別のところに興味が出てくる。シールや柄付きのテープ、荷造り用のテープも柄付きにしようとか、あれこれ考えはじめる。つい最近も通販でグッズを買い足した。このままだと、いつか自分の字が下手ということも忘れて、明るい気持ちになれるかもしれない。それもおもしろいかもしれない。