この数週間、ひさびさに夜の食事を制限している。なにせすでに人生の半分以上を生きてきている年代だ。何をしてもしなくても、とにかく太りやすい(より正確に書けば「痩せにくい」のほうが近い)。わたしのライフスタイルなどはこの20年ほどまるで変わっていないはずなのだが、同程度の作業をしているつもりでも代謝が落ちているのだろう。
正直に書くが、わたしが「体重を気にした」のは、中学生のときに1年程度と、この5年くらいのものである。中学のときは親が家族全体の食事を管理していたので、抜くことも、逆にどか食いすることも自分の勝手ではできず、太めなのはおそらく運動が足らないからだろうと思っていた。だがよく考えるとわたしの田舎の家族は、何か事情が生じて痩せている時期を除き、原則としてぽっちゃりの傾向があったように思う。食べ過ぎだなんだ、運動するしないの前に、なんとなくの方向性として「太りやすい因子」というものがあったのではないだろうか。
それでも中学や高校のころは、夏の暑さで5キロ痩せて冬にまた体重がもどるといった現象は、とくに努力も意識もしていないのによく起こっていたために「何もしなくてもそれが起こるのだから、気合いを入れて何かをしたときはもっとすごいことが起こるのだろう」と、勝手に思っていた。いや、実際に、若いころならばそうだった可能性もあるのだが、いまはもう中高年であるので、ちょっとやそっとでは無理な話。
20代までは会社に勤め、人前によく出る立場ではあったが、服装は自分で選べる立場であったことから、制服やユニフォームのサイズに合わせるために体型を気にする必要もなかった。30代を前に会社勤めをやめ、こうしてネットに生活の中心をおくような暮らしになってから長い。いよいよ健康に気を遣わなければならない年代になってきた。10年近く前に病気をした関係でいまも6週間に1回は血をとられ、あーでもないこーでもないと、結果の数字を見せられている。ときにはその数字にどきりとすることも——。そこで中学時代に考えた「何もしなくても夏には痩せたのだから、気合いを入れればすごいのだ」という根拠のない自信を、試してみようかと思うようになったのが、数年前のことだ。
最初の1〜2年は室内でヨガのまねごとをしたり、室内バイクをこぐのが中心だった。そして真夏を除いて週に数回は近所をジョギングしたこともある。
さらに1年くらい前からは、ときどき夕食を少なめにする(もしくはほとんど摂らない)時期をもうけた。
さて、それらいくつかの方法を試みたところ、偶然や機能性ではなく、毎回同じ結果になりやすいと気づいた。どれをやっても「その試みをして最初の数日〜1週間で1キロ体重が落ちる、その後は同じことをしているのにその状態からほとんど動かない」のだ。つまり、1週間で1キロ落ちたら3週間後も4週間後もそれを維持しがちなのである。自分の体がその状態に慣れようとして、なんとかバランスをとってしまうのだろうと想像。ならばこちらももっとたくさんの変化をつければよいのだが、あまりたくさんの制約を設けたりきついことを予定すれば、かえって負担になって、何もしなくなってしまう。
ひとまず、4月上旬からやっているのは、夕食をスープ類を中心にして、その他は「少なめのおかず1品程度、ゆで野菜1品程度」にして、ライスを添えないことである。白いご飯があったらなと、スープやおかずを口にするたび思うのだが、もう何十年ものあいだ、美味しい白ご飯を食べてきたわけだから、胃袋には夕食くらいはリラックスしてもらうのがいいかもしれないと思う。考えてみれば夜は運動をするわけでもないし、もちろん出かけない。カロリーを少なめに摂取するのは、きわめて妥当だ。
朝はパン食で、夜にこうしてライスや麺などを食べないことにしたため、昼食に困る。いままでのように気軽なものが食べられない。せっかくの「何を食べてもよい食事」なのだから、何を食べたらいいのかと迷ってしまうのだ。ライスか、麺か、だがたまには従来のようにカップ麺も食べたいし、困った(笑)。
わたしという人間は食い意地の塊で、読書するにも食べ物の本がかなり多めである。いまもこうして夜は摂取カロリーを減らす期間にしてみたというのに、昨日読み終えたのは食文化(とんかつや洋食)、読みかけなのはアメリカの食文化の本やら、中世ヨーロッパの旅人の食卓、そして多く積んであるのは外国料理のレシピ本。これだけ誘惑の多い立場にあるわけだが、なんとしても、この「1kgの壁はいつ取り払われるか」を確認し、次の一手を考えつくまでは、決めたことはつづけたいと思っている。
ライスはうまい。でももっとうまさを感じるために、しばらくのあいだ、ライスを食べるのは昼食のみにしておこう。待っていてくれ、はつしも(岐阜米)、きらら(北海道米)たち。いつか丼飯として会おう。
(最初に間違えて「はつしも」を「しもつかれ」と書いていた、失礼 ^^;)