去年の5月ころ映画のロケで滞在したオーストラリアに、ペットの犬をチャーター機に同乗させ無許可で持ちこんだジョニー・デップ夫妻。奥さんの女優(アンバー・ハード)が現地で立件され、つい最近になって謝罪コメントという名目の奇妙なビデオ(←まるで謝っているように見えない上から目線の男女がしゃべるだけ)で人々を唖然とさせたふたりだが、奥さん側から離婚を求められていることがわかった。
理由の大きな部分が、ジョニー・デップに暴力を振るわれていたという点にあるらしい。また、最近は顔にiPhoneを投げつけられ怪我をしたという話もあり、デップに対して接近禁止命令を裁判所に申請して、一時的にそれが適用されている状態だとも聞いている。
わたしのジョニー・デップ感は、去年の犬の件から少しずつ変化し、先日の奇妙なビデオのあとで知人らを前に「自分でそれをおちょくるスピーチ」をしたことがわかったあたりから(これは動画でわたしも確認した)、完全に目が点になった。よその国の法律をなんだと思っているのだろう。しかも、謝ったふりをした動画がこっけいだったと笑われれば、それで笑いをとる、とは。いままでのイメージががた落ちである。そこに、今回の家庭内暴力うんぬんの話。
正直なところ、ネット上のジョニー・デップ擁護の声が多すぎて、無条件に気持ちが悪い。なぜジョニー・デップがそんなことをする人なのかどうかが、普段の付き合いのない世界中のファンらにわかるのか。そして長年交際してデップの子供ももうけた仏女優のヴァネッサ・パラディからも「自分が知るかぎり、そんな人ではありません」というコメントが聞かれたが、それは自分が当時はそんな被害に遭わなかったというだけの話。その後もずっと、ほかの人に対しても暴力を振るわないという根拠として、それは成り立たない。だから彼女の意見を現在の奥さんが何をされているのかいないのかに、当てはめることはできない。
誰の目にも「暴力夫の可能性はたしかにあった」などと噂される人がいたら、そもそも相手は、結婚しなくて済むのである。その人物評と情報を事前にどんどんと語って、広めておいていただきたいものだ。だが実際にはそうではないから(結婚後に、家庭内など少人数になったときだけ豹変する人が実際にいるから)、問題は根が深いのだ。そして家庭外ではそれまで通りの行動をとるから、発覚しづらい。
実際に暴力があったのかなかったのか、もしあったのならば程度はどれくらいのものだったのか。それを周囲が想像まじりに語ることは、できるかぎり慎まなければならないはず。
ジョニー・デップを根拠なく擁護するのは勝手だが、奥さんのアンバー・ハードを金目当てとか話題作りのように言う人がいたら、それはわたしは違うように思えてならない。まだデップと結婚する前だったと思うが、ニコラス・ケイジ主演の「ドライブ・アングリー」に出ていたアンバー・ハードは、よい女優だと思ったし、輝いていた。現在も、別にデップからのカネが必要とか、そういうことではないように想像している。離婚やこれからの話し合いがどういう経過をたどるのかはわからないが、アンバー・ハードには、これからもスクリーンに出てもらいたい。