やってくれた、ナイト・シャマラン。
これまで何度もがっかりさせられ、当時もしchange.orgがあったら「もうナイト・シャマランに映画を撮らすな」と言う人が出てくるのではないかと思ったほど、心の底から「カネと時間を返せ」と叫んだ映画「ハプニング」から、10年弱。もう彼の作品は二度と見ないと誓ったというのに——。去年だったか米国と他国がほぼ同時進行で放映したテレビ番組「ウェイワード・パインズ」も、ついついつられて、見てしまった。その作品では中盤の第5話最後の数分で、視聴者の大半をどん引きさせた。おいおいっ(^^;。そのあとは、もう見ても見なくてもいいやと思ったのだが、けっきょく最後の10話までつきあった。
そして、今日。家族が「ナイト・シャマランが反省したらしいと噂になった映画が、Apple TVにある」という。あれが反省するのか、するのか? あのハプニングが? あれが…?
だが、けっきょく見てしまった。
邦題 ヴィジット、原題 The Visit
ほほぅ…?
…まぁ、反省したというよりは、いままでどうしようもない妄想にとりつかれていたものがそっくり消え去って普通の人にもどったかのような、けっこうまともなホラー映画だった。
理由があって若いころ家を飛び出した母親(現在はシングルマザー)に育てられた利発な姉と弟が、母の実家から一週間泊まりに来いと招かれるところから話ははじまる。母親は自分からは足を踏み入れないと決めているため、送り出す段取りだけして、交際相手の男と奮発してクルーズに出る。
カメラやパソコンに強い姉弟は、日に1回程度は母親とネットで会話をしながら、それ以外の時間で田舎の祖父母との日常や家の中のことを事細かく撮影し、最後にそれを映画として仕上げる計画を立てる。
初日の晩、姉は祖母の異様な光景を垣間見る。
二日目以降も、祖父、祖母それぞれから、不可解な言動が見られるようになる。祖父に尋ねれば祖母のことを、そして祖母に尋ねれば祖父のことを、「病気であり、年をとれば誰しもおかしくなることだから」と、見守ってもらいたいという意思を示される姉弟。家の中をもっと調べようと提案する弟に、祖父母なのだから勝手なことをしないほうがよいと最初はいさめる姉。だが、ようやくふたりが、調べることになったとき…
…ストーリーが終わりに近づくにつれ、おそらく見ている側は話の大筋を漠然と理解するのだが、細部がどこの方向に枝分かれしていくのか、これはいったいどのタイプの映画(ホラー映画、気持ち悪系の映画、おばか映画、ただの安っぽい映画)になるのか、そのあたりを考えながらハラハラドキドキした人もいらっしゃるかと思う。わたしとしては、一番まともな方向に話をまとめてもらえて、ほっとした。
そこそこ、怖さもあるのではないだろうか。
ナイト・シャマラン、今回は、がんばったな(←偉そう ^^;)。