何年か前「キアヌ・リーブスが忠臣蔵に出るらしい」という、にわかには信じがたいニュースを耳にして、それ以来「ぜったいキワモノだろうから、聞かなかったことにしよう」と、避けつづけているうちすっかり存在を忘れていた映画「47 ronin」だが、今日どこかの有料チャンネルをザッピングしていたところ、開始直後の状態で遭遇してしまった。
見た瞬間「なんじゃこりゃ、薬師丸ひろ子版の里見八犬伝?」と、目が点に。あれはたしか、たかが千葉県の一部(失礼)であるはずなのに砂漠や巨大な山々、禍々しき神殿のようなものを描いた映画だ。「房総どころか、これはどこの国じゃーっ」と日本全国を騒がせた(大げさ)、あの映画の雰囲気そのままである。あとで知ったが綱吉役だった日系人俳優ケイリー=ヒロユキ・タガワの見た目は…あれをなんと表現したらいいのかと迷う衣装(^^;。あれは、何風なのだろう。昔の中国? いやいや、もしや江戸時代の日本人が伝聞をもとに思い描いていた「出島にいる西洋人が着ていそうな衣装」と和服を混ぜて、和洋折衷にしてみたらああなった、と…?
登場人物の大多数が日本人、もしくは外国で活躍していて英語はうまくとも見た目が日本人ぽい方々(日系人やアジア系を含む)であるのに、見たからに西洋系のキアヌ・リーブスを中心に、全員英語で話している。これは、キアヌには申し訳ないが彼が日本語を猛特訓するか、あるいは70年代の吹き替え映画のように、誰かにアフレコをお願いすればよかったのではないかと、まじめに考えてしまった。
日本人だらけで全編英語の「スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ」という日本映画(2007年、監督は三池崇史)が昔あったが、あれは違和感がなかった。ああ、英語で撮ったんだな、と。今回も三池崇史に「角川映画風で」と依頼し、キアヌに日本語をしゃべってもらえば、雰囲気が違っておもしろかったのではないだろうか。
ストーリーは、まぁ、別にどうということはない。。。赤穂浪士のストーリーを題材に(骨子のみ)、ファンタジーを目指そうとしたのだろうか。里見八犬伝でもなんでも、とにかくその手の「魔物に戦って勝った」という話である。姫と主人公の恋愛もからんでくる。里見八犬伝と違うのは、最後はちゃんと別れた(いっぽうはお亡くなり)という点だが。
菊地凛子の演じた魔物だが、あれほどまですごい能力(変身、戦闘力、破壊力)があったのなら、吉良家ではなくて将軍家とか、もっと力のあるところに取り憑いて日本を牛耳ったらよかったのになぁ…もしや、吉良家がよかった理由がどこかで描かれていたのかもしれないが、わたしが見落とした可能性もある。
いずれにせよ、キアヌにはぜひ、日本語を学んで日本映画に出てもらいたい(って、そういう結論か ^^;)。