笑いを忘れないことは、よいことだ。たとえそれが、いまから自分が手術を受ける瞬間であっても。
一部の方々には詳細にお話したが、実は昨日は日帰り手術を受けてきた。日帰りの予定とはいっても何かあったらその場で入院になってしまうため、念のために朝の早い時間に入院受付を済ませ、病棟で下準備と待機をし、手術を受けて問題がなかったら着替えをして帰宅するというものだ。
もっとも痛そうな瞬間のみは麻酔を使うと聞いていたので、それほど大きな不安はなかったが、実は笑いをこらえるのに苦労する瞬間があった。
まず、患部周辺を医師が確認するたびに、きれいに洗うのだが、そのとき出ているのは適温のお湯なのに、「冷たくないですか〜」。これではまるでシャンプー台だ。笑いをこらえていると、その数分後、医師が頭のあたりにやってきて「酸素マスクもつけましょう。顎を上げてください」——いったいどういうマスクなのだろう、顎にゴムをかけるのではまるで小学生の麦わら帽子だと思いながら顎を上げると「あ、違った、頭だった」
頭のうしろに酸素マスクのバンドのようなものを通そうとして、間違えて顎と言ったらしい。わたしは言われたとおりに顎を突き出してしまったが、あまりの滑稽さに、笑いをかみ殺すのが精一杯だった。幸いなことに酸素マスクをつけるとすぐ医師は持ち場にもどった。看護師が顔を見ていたらどうしようと思いながら、マスクの陰で笑いをこらえた。
また、これは笑うところではなかったが「いま点滴に痛み止めを入れましたから、体がふわーっとしてきますよ」のあと、「少ししたら麻酔を入れますが、まだです。まぁ、完全に眠っちゃうほどよく効く人は、そんなに多くないみたいですが」…って、おい、痛いんだろ? 痛いから麻酔するって説明だったよな、それが「完全に眠っちゃうほどじゃない」人のほうが多いって、困るじゃないか…。
そうこうしているうちに、ちょうど手術の時間(おそらく10分強)のみ、わたしは眠りに落ちていたようで、医師の声で目が覚めるときは何か夢まで見ていたようだった。白い天井にうっすらと人影が見えて「終わりましたよー」と言われたとき、ああ、臨死体験というのはこういう風に明るい部屋で枕元に医師がいて話しかけたりするときの映像が語り継がれやすいのかなと、余計なことを考えた。
ともあれ、今日は安静にしていたので、明日からまたポケモンGoを兼ねた散歩にでも出ようと思っている。