疲れているはずなのに、眠れない。いや、ほとんどの場合、眠ろうとするまでの手順でひとつふたつつまづくと、もう、それが終わってからでなければ寝られないと思ううち、強迫観念のようになってしまい、頭がさえてしまうらしい。
体が疲れているときに、手のひら(とくに小指〜人差し指の付け根部分)がぱんぱんに腫れて、さらに悪化すると中指の関節が腫れて曲がったようになってしまう経験をしたのが今月の頭だ。二日ほど苦しんだが、別件の日帰り手術が終わって家に帰り、医者に安静と言われたのだから1日くらいのんびり横になるかと思ったら、翌日の昼には治ってしまった。それ以来ずっと再発していなかったのだが、今日また、なりかけている。寝れば治るのは前回の経験でわかっているのだが、寝てしまって治らなくて明日も何もできなかったら(指が動かせなかったら)どうしよう、今日のうちにせめて何かしておこうと、堂々めぐり。このところ週のうち半分くらいは、何かをしようと考えているだけで夜の3時前後になってしまいそれから横になるが、昨日などはさらにそのあと「寝付かれない」という気持ちで、4時ころまでいらいらした。
20年くらい前だっただろうか。こんな風に、夜に眠りにはいるまでの心の準備ができないうちに時間ばかり過ぎていくことがつづいた。卵が先かニワトリが先かは不明だが、そのころわたしは体調も悪かった。近所の内科に出かけたついでにその話をぶちまけると、医師が「症状云々の前に、あなたは少し体を休めた方がいい」と、いまにして思えば軽い睡眠導入薬を処方してくれた。だが、わたしにはそれが飲めなかった。寝ているあいだに何か重大なこと(天変地異や家の中の一大事)が生じて自分が起きることができなかったらたいへんだ、と。
それを人に話したら「ああ、大丈夫だ、あなたはまだ限界に近づいていない」と言われた。限界になった人は薬だろうとなんだろうと、なりふり構わず飲んで眠りたいと思うものだという。なるほど、そういう考え方もあるかもしれない。
そのときの体調不良や「眠れない」が、どういう風に決着したのかは覚えていない。だがわたしは、またそのサイクルにはいってしまいつつあるようだ。幸いなことに現在のところ体調はよい。だから眠りのほうだけ早めになんとか区切りが付けられたらよいと思っている。だが焦るとドツボにはまるので、少しずつ、考えていこうかと思う。