Facebookで知人がリンクを紹介していたのだが、最近は鮨のシャリ(ご飯)部分が「冷たくて当たり前」、温かいと「なにか変」と考える人がいるそうだ。それも40代、50代など、かならずしもお子様世代ではない人からも、そういう意見があるという。
温かいシャリに、冷たいネタで食べたら「ああ、本物を食べた」、「なんとも贅沢」という気持ちになれる…というのは、昔の話らしい。冷たくないと本物っぽく感じない人がいるとは、かなり驚いた。
そういえば以前に、冷凍食品の開発者が「せっかく電子レンジで温めても皮がパリッとしている春巻きを目指しているのに、小さい子供たちの中には、くにゅっとした春巻きを普通だと思っている子もいる」と嘆いているインタビュー記事も読んだことがある。
また、これはずいぶん前のことだったが——
当事者のひとりが笑い話として投書していたものだった。あまり高級なお店に慣れていない女性たちが、地域の催しが終わったなどの縁で打ち上げとして料亭に出かけ、そこで昼食の懐石を頼んだという。その人たちは「なんでちまちまと、小皿みたいなのを持ってくるのかしら、いつになったらぜんぶそろうの?」と、ぜんぶ並べてから食べようとしていたという。店もまさかズバリと「早く食べろ」と言うわけにもいかず、かなり戸惑っていたことに、客たちが途中でやっと気づいた、ということだった。
いや、これはもう、店も最初から遠慮なく言ってしまったほうが、お互いに幸せだったのではと思うが(笑)。
人は、できるだけマナーを気にして食事をしようとすることがある。周囲をよく見たり、無意識に行儀よくしようとすることもある。かつて山本益博氏だったと思うが、テレビ番組で「自分が深い意味もなく、ただ食べ終えた(蟹の?)殻をひっくり返したところ、周囲が一斉に同じことをして驚いた」というのがあった。実はわたしもこれに近いことをやってしまった。アメリカからお越しの知人夫妻と食事をしていて、なんとなく、あれは何だっただろう、食べ終えたあとに、ほんとうに何気なく殻(だったか?)をひっくり返してしまった。するとほどなくおふたりが、同じようにひっくり返していたことに気づいた。
こうやって、いろいろな「ちょっとしたこと」などが積み重なって、各人それぞれの「常識」ができあがっていくのかもしれない。