このところ、なぜだかわからないままとくに悪化しているのだが、わたしはある女優さん(数年前にNHKのテレビ番組で有名になった「あまちゃん」主演の人)が苦手である。ところが苦手といっても、かなり努力して遭遇を避けているために、トーク番組でも見ない(つまり話し方も知らない)、誌面インタビューも読まないので人柄も知らない、声はなんとなくわかる、といった程度。だから何が苦手なのかが、さっぱりわからないまま、今後も「できるだけ避けたい」とだけは感じている。
おそらく、NHKの朝ドラを見る習慣がなかったのは事実なのだが、ネット上で周囲の人々の「あまちゃん」への熱狂がとても奇異に映ったというのが、第一だろう。最終回を過ぎて「あまロス」という言葉が生まれ、再放送でまた見ちゃったという人たちの投稿にも驚き、ならば自分は意地でも見るものかと思ったことは、たしかに覚えている。
話題のものに反射的に警戒感をいだいただけの、へそ曲がりなのだろうか。いや、そういうのとも違う気がする。脚本や設定がぶっ飛んでいると感じた(なぜよそで育ったのに岩手の現地語をしゃべるのだとか)のも事実だが、別に脚本家のクドカンは好きでも嫌いでもない。主演女優だけとくに避けたいと思う理由には、遠そうだ。いまはとにかく、なぜ嫌いかを考えるだけで、何かへの怒りに近いものがわいてきてしまうのである。その正体がわからず、自分が怖い。
子供のころに嫌いだった誰かに似ているのだろうか。いやいや…思いつかない。
無理に好きになる(もしくは理解を深める)必要はないし、今後も避けていればいいことなのだが、何かが引っかかる。正体不明の苦手意識があることが、とても不安である。