自分で書いてもいない、ましてや取材もしていない内容なのに、他者の書いた情報へのリンクを中心に内容を作り、あいだには本来の書き手の文章を少し変えただけではさむ——それで内容を自分で書いた気になって、アフィリエイトで(もしくは大手サイトの格安ライターとして)小銭を稼ぐ人がいるのだ。数週間前にDeNA系列の有名サイトがいくつも閉じた件で話題になったが、こういうのはこの先もなくならないだろう。
悔しいのは検索エンジンが「他人の作品をリンクでまとめただけの文章」を、本来の執筆者より上に表示させることだ。その理由はパクったほうが大手のレンタルブログを使って発信している、もしくは大手のサイトに雇われて書いている格安ライターであることも大きいだろうが、やはりなんといっても「複数の人から無造作に得た情報をできるだけ1画面に濃縮させて掲載している」ので「優良記事と誤認」されるからだろう。本人はたいした労力を使っていないのに、そのインチキが成り立ってしまう。
身を削って、時間をかけて原稿を書いている(掲載の写真撮影なども含めて)人にとって、あまりにも、むごい話と思う。
さて、比較にならないほどささいな私事で恐縮だが、わたしの例を書いてみよう。
よほどネタがない日を除いては、1日につき1〜2件、Facebook版「バウムの書」に何か書いている。自分で買ったバウムの画像であるなら、それはあっという間に掲載できるが、割合としてはバウム記事をネットから探してきてリンクで紹介することが圧倒的に多い。掲載基準に自分なりの制約を設けているから、検索できた内容をすべて載せられるわけではない。気づくと1本のネタを「探して、載せる」のに20〜30分かかっていることもある。だが多くの人にとっては5秒以下で読み捨てできる内容だ。ときには一生懸命に書いたものでも読者やその友達から無残に「非表示」にされることもある(これはFacebook管理画面から個人を特定しない形で閲覧できる情報)。
好きな作業だから勝手にやっているだろうと思う人もいらっしゃるかもしれないが、日々真剣に書いていれば、ごくまれに新しい方が連絡をくださったり、昔なじみの方がバウムの耳寄り情報をくださることも。自分は自分にまじめでありたい、せっかく読んでくださる方がいるのだからその人たちにも喜んでもらいたいと、手を抜かずに探して、書いているつもりだ。これがもし、ひんぱんにアイディアをとられることがあれば(せっかく探して書いた地道なバウム情報を、同ジャンルのブログ等が翌日や数日以内に追いかけるように書きつづることが重なったら)、おそらくやる気がなくなることだろう。
幸いなことに「自分しか書いていないような、地味なネタをパクられた」ということは、さほど経験がない。おそらくパクるほうも出典を曖昧にできるように、多くの人が書いている内容から選んでまとめ掲載していくのだろう。それを思えば自分の身を守る工夫のひとつとして、流行り物にあまり飛びつかず、時期や売れ筋などと関係なく、書きたいタイミングで書くべきことを書くのがよいのかとも思うが、自衛をしすぎて世の中から取り残されてしまうことも、なきにしもあらずか。
わたし個人は、どこか特定のサイトばかり参考にしないようにしているし、検索方法や検索ワード、検索する場所、すべて複数のソースを使って重ならないようにしているつもりだが、この手間を惜しむと「自分で何かを思いつくまで努力する」という基本から離れて、安易な方向に走ってしまうのではないかと思う。
せっかくなので、バウムクーヘンのネタを探してきても、掲載するしないの判断に必要な条件を、いくつかご紹介。
○ バターを使っているバウムクーヘン(不明な場合は仕方がない)を優先。
○ 同じ店、同じ商品などは、期間をあけて紹介する。よほどの大手でしょっちゅう話題商品がある場合でも、できれば連続させず、何か別の話題をあいだに入れる。
○ できるだけ写真が一緒に載っているサイトまたはブログをリンクして、そこに行けば何が書かれているかを、読み手側に簡潔に説明する。
○ 自分がうまそうと思えない商品は、よほどのことがない限り、紹介しない。
これからも、バウム情報をコツコツと検索し、みなさんにご紹介していきたいと思う。