札幌でアパマンショップ(不動産会社)の店長が「室内で」除菌消臭スプレーを100本以上撒いた結果、近隣を巻きこむ爆発が発生した件。
最初にネット上で読んだ新聞記事は「100本以上の除菌消臭スプレーを放出」だった。テレビはほとんど見ないため、テレビなら映像が紹介されていたのかどうかはわからない。だが最初に読んだ記事は「放出」だった。
わたしの頭にはすぐさま「退居した住人が部屋をきたなく使っていた、なんでこんなに撒いても匂いが消えないんだ、消えろーっ」と、半狂乱になった不動産会社社員が両手に除菌消臭スプレーを持って噴射をつづけ、しかもその作業を50回以上くり返す姿が浮かんで…さすがにそれはあり得ないと思った。
そうこうするうちに、ガスの缶に釘を打つ作業をしていたのではないかという話で持ちきりになった。頭にすぐ「残りのガスを噴射したあとで1本ずつ釘を手に……その作業を100回以上…」の姿が浮かびそうになり、さすがにそれもないだろうと思った。呼吸困難になってその人は数本でギブアップするはずだ、と。
するとようやく、業務用の自動スプレー(4分間自動で放出)を120本撒いていったん部屋から出たという話になってきた。ああ、それならば、本人はガスを吸わずに済む可能性があるかと思う。その点ではありそうな話に思えたが——いやいや、120本を室内に並べてスイッチを押していく過程で、仮に押すのに1秒ずつかかったとして終了まで2分である。普通はその2分のあいだに「これはまずい状況ではないか」と、気づくものなのではないだろうか。なぜやめずに続行したのか。しかも15分か20分程度でもどってきて、湯沸かし器を使おうと思うのか。
報道によると、スプレーは入居者負担で金銭を受理しておきながら実際には噴射していなかった、新品であるという。ごまかすために急いで処分を考えたのだろうか。
どこまでも闇が深い話だ。
それにしても、ネット上で読む新聞記事というのは、書いている人は現物を知らずに発表があったまま載せているのだろうか。最終的に考えれば、最初に読んだ「放出」は、文章として間違いではなかった。だがもし記事を書いた人が現物をきっちりと把握していたのならば、業務用の自動スプレーとまで書いてくれたら、さらによかった。それならば、わたしを含め多くの人が首を傾げることもなかったかと思う。
おそらく、最初のうちというは発表のままで、関係者に質問してより具体的なことを書けるようになるまでに、時間差が生じているのではないだろうか。