意地悪は、いけない。していい意地悪があるかどうかはともかくとして、これはひどい。
バスの運転手が、ある車椅子の男性を乗せたくないあまりに、車椅子に対応しているバスが配車されているにもかかわらず、わざわざ非対応の車両を選んで運転することがあったのだそうだ。
路線バスを運行する東野交通(宇都宮市平出工業団地)の黒磯営業所に勤務していた男性運転手(66)が昨年4月ごろから約半年間にわたり、車いすの男性客の乗車を拒否していたことが28日、同社への取材で分かった。男性運転手は男性客が利用するダイヤに乗務する際、配車された乗車口にスロープの付いた低床型バスには乗らず、通常型バスで走行。スロープがないため車いすの男性客は乗車できなかったという。運転手は、この男性客が利用するサイクルに合わせて、故意に設備のないバスを選択したという。関東運輸局は道路運送法違反(乗車拒否)にあたる可能性もあるとみて同社への処分を検討している。
このバス会社では、その男性が利用する時間帯に、きちんと対応車両で配車をしていたのだが、この運転手がその時間帯にあたった場合、事情を知らない運行管理補助者に話して別の車両に乗っていた場合があった(平均して月に2〜3回)という。運転手と男性のあいだには以前にトラブルがあって、それ以来、乗せたくなかったのだとか。
いや〜、車椅子うんぬんはひとまずおいといて、運転手と気が合わないと交通機関を利用できなくされてしまうというのは、かなりの被害だ。あってはいけないこと。よく半年ものあいだ問題にならなかったものだ。
あたりまえのことだが、立場が公的なものであればあるほど、人に意地悪をしてはいけない。相手には別の選択肢がないかもしれないのだ。立場が対等かつおたがいに大嫌いな相手なら、顔を合わせずに暮らすこともできるだろうが、どちらかの立場が大きな存在であるなら、弱者にあたるほうに意地悪をしてはいけない。