犬も猫も、鳴き声には抑揚があるし、聞いていれば速さも変わる。ときには演歌のように声を溜めてみたり、壊れてしまった蛇口のように鳴きつづけることもある。生きているものが意思伝達や威嚇のために音声を発しているわけで、そういうものだろうと思う。
だが、鳥は違う。規則正しく鳴く。いい加減に飽きて終わりにするだろうと思っても、鳴きつづける。
今朝のことだ。ふと眠りが浅くなった瞬間に、鳥の声が聞こえはじめた。最初は寝ぼけた頭で「鳥だろう」と、わかっていた。だが聞いているうちに「こんなにしつこく、同じ間隔で鳴く生き物が、はたしてあるだろうか。もしやこれは生き物ではなく電子音で、数軒先の家でホームセキュリティが”火事です”などと言っている可能性はないのか」と、どうにも耐えられなくなって、起きてしまった。
すぐ窓を開けたが、きな臭さもなく、遠くの電子音も聞こえてこない。さらに耳を澄ますと、近くの木の枝あたりに鳥らしき気配。やはり鳥であったか。
鳩時計といういうものがあるくらいだから、鳥というのは同じ間隔で鳴くものなのだろうとは、思う。だが朝のぼんやりした頭に、あれはこたえる。