家族が「映画を録画してある」というので、まったく予備知識のないままに見てみた。脚本、監督、主演がエミリオ・エステベスで、図書館の話なのだという。
(Amazonでも字幕版が見られるようなのでリンクしておく)
原題は、The Public だ。舞台はオハイオ州。
見はじめるなり「父親(マーティン・シーン)の若いころに、そっくりになったじゃないか」と、本編とは関係ないところで驚愕。そういえば数年前に1976年の映画「カサンドラ・クロス」でマーティン・シーンを見たときも、「若すぎてエミリオ・エステベスと区別がつかん」と思ったものだった。似すぎている。
さて、ストーリーだが:
いつも朝になると公共図書館に通ってきては、身なりを整えるなどくつろいでいるホームレスのグループがいた。寒波が厳しくなり、もうこのままでは生きていけないと感じた彼らは、自分たちによく接してくれる職員のスチュアート(演:エミリオ・エステベス)に、計画を打ち明ける——自分たちは今夜ここから帰らない、と。
たしかに一般人でも体につらいほどの寒波であり、シェルターは足りていない。追い出せば彼らは死んでしまうかもしれない。規則では断らなければならないが、ホームレスらの決意は固く、気づいたときには70人前後がすでにフロアに集まっていた。
最初はなりゆきで、彼らを守るためバリケードを用意させるスチュアートだったが、彼ともともとそりの合わない検察官(政界を狙う野心家)とのいざこざから、話がこじれる。そして彼は、ホームレスを扇動もしくは人質にとって何かをたくらんでいる悪者だとの誤った情報により、いったんマスコミの餌食になりかける。
どうなるのかと、少しはらはらしたが、最後は痛快だった。
傑作ではないかと個人的には思うが、IMDBでの評価は意外にも6.6のようだ。おそらくは、白人エリートが悪者に見えるこの作品を快くないと感じた人々も、一定数いるのかもしれない。
前半はクリスチャン・スレーター演じる野心家の検察官が、あまりにも薄っぺらいキャラクタとして光る。そして中盤まではそこそこ穏健派かと思われていた交渉人役の警察官(アレック・ボールドウィン)も、やがていらついたおっさん風の役柄になってしまう。白人系の役者がストーリーにおいて善玉を独占してきた数十年以上の歴史に慣れてしまうと、こうした展開になかなか拍手喝采とまでは感じられない人も、いることだろう。
まだご覧になっていない方は、ぜひ。
過度の暴力やグロい場面は出てこないので、そこそこ安心だ。