breakthrough(ブレイクスルー)は、行き詰まっていた状況をうまく打破して次へ進むという、突破口を開くというよい意味だった。いや、「だった」ではなくて現在形であり、現在も英英辞書などにはそう書かれている。
だが、昨今の用例でブレイクスルー感染(ワクチン接種後2週間以上を経て検査で陽性が判明する)の印象が強すぎて、もともとの英語になじみがなかった人にとっては、おそらくは印象の悪い言葉になりつつあるのではないだろうか。
どちらの場合も、もう行き詰まりだと思っていた(打破できないという焦り)、もう壁を作ったと思っていた(だから安心という油断)という状況で、誰か/何かがわずかな隙間を突き抜けて反対側に出るという意味であるから、突破する側の存在にしてみれば、それは偉業なのだ。
そういえば、2019年よりも前にネットで「○○クラスタ」といえば、○○する人々、○○愛好家のような集団として、使われていたと思う。この1年半で世の中はすっかり変わり、クラスタ(cluster)といえば新型コロナの用例であふれてしまった。それまでの方々が使うのをやめたということはないだろうが、これから新たに使う人は減るかもしれない。もっとも、最後に長音を付けるかどうかで、クラスタとクラスターの棲み分けができるのだろうか。