白金高輪駅の構内で、許せない事件があった。動機は不明だが、黒ずくめでマスク姿の男が特定の個人をつけ狙って、その顔に硫酸をかけたというものだ。
その後の報道では「3駅前」から、そしてその駅界隈にある被害者の勤務先近くでも、防犯カメラに容疑者らしき人物が写っているという。動機はなんであれ、狙う人物は早くから決めていた可能性があるようだ。
容疑者の顔や服装、体つきは、テレビなどメディアで大写しになった。マスクをしているとはいえ、目のあたりは鮮明で、知り合いが見れば誰だかわかるはずだろう。
…それなのに、なぜか、犯人逮捕の続報がない。なぜだろう。
実は気になっていたことがある。
容疑者は、紙の切符を使ったのだろうか。最近では以前のように、切符の代わりになる使い捨ての磁気カードはない。記名式であろうとなかろうと、ほとんどがICチップを利用したカードだろう。スマホに組み込んでいる人も多い。つまり金額の残高だけがわかった大昔の磁気タイプよりも、足がつきやすい。
JRや交通機関各社は、利用者のデータを外部の企業に売る場合のプライバシーについては、細かく規定している。利用者個々人について外部の会社は把握しませんよと、念を押している。だが外部に出すのではなくて自社内ならば、その時間に○○駅から○○駅を利用した男ということでデータを絞り、普段どこの駅を利用している人物であるかなどの特定は簡単にできるのではないだろうか。技術的にはおそらく可能で、道義的にも、裁判所などが認めれば分析できるものと思う。
紙の切符を使うと、被害者がその日に降りる駅が違った場合に対応が遅れる。そして紙を吸いこんでくれる改札の機械は格段に減った。時間のロスと被害者を見失うリスクを減らすのであれば、ICカードを使ったほうが早い。
…これくらいわたしでも思いつくので、交通機関(今回の場合は東京メトロまたは都交通局)や、警察が動いていないはずはない。ではなぜ逮捕の報道がなされないのか。
名前と場所をつかんでいて、捕まえたあとで発表するのかもしれないが、それにしても、時間がかかっている。
(2021.08.28午後追記)
沖縄で容疑者逮捕だそうだ。安堵。
この記事によれば(→AERAdot. 「硫酸男」を沖縄で逮捕! 琉球大学理学部出身で専門知識も 被害者は後輩)なんと、当日は切符を使ったらしい。防犯カメラ等をつなぎ合わせた分析で24日の夜に静岡の自宅にもどったこと、25日に静岡駅から逃亡したことまではわかったが、そのあと沖縄で発見されるまで時間がかかったようだ。