この10年〜20年ほどは、ひとさまの家になど玄関先ですらおじゃましていないので昨今の事情は不明だが、かつてどこの家も、玄関をはいっていすぐにイエデンがあった。固定電話だ。
誰も携帯など持ってはいないから、家を出てから用事を思い出したご近所さんが「ちょっと電話を貸してもらえませんか」などというのはよくある話だったし、親機と子機が一般的になったのはNTT民営化以降のことだろうから、35年くらい前までは、家の誰かが長電話をするには玄関脇でしゃべるしかなく、親世代が「そろそろ切りなさい」と合図をしてくるのもよくある光景だった。すると今度は、田舎ですら山ほどあった公衆電話(当時は固定電話も公衆電話も通話料金が一緒)に出かけて、話をするのだ。
2021年現在で幼いお子さんが成長し、携帯を持つようになるころ、一般家庭にイエデンはあるのだろうか。設置している人はそのままかもしれないが、これから新規契約をする一般家庭が以前のように多いようにも感じられない。
そして電話の設置場所は玄関ではなくて、受信するためのルーターだけどこかに置いたら、あとは在宅時している人間それぞれのスマホで受けるようになるのかなという気がしている(すでに、かもしれないが)。