もう閉店してしまったので、まったく同じものは無理とわかっているものの、ときおりアンヂェラスが食べたくてたまらなくなる。アンヂェラスとは浅草にあったレトロな喫茶店であり、看板商品である同名の小ぶりなロールケーキだ。バタークリームを使っていて、周囲がチョコレートでコーティングしてある。検索窓でアンヂェラスと入力すれば、写真がたくさん出てくる。
なくなる日が来るとは思っておらず、いつでも食べられると思って、たまにしか買ったことがなかった。店に出かけて店内で食べたこともあるが、それ以前は浅草の駅ビル(浅草松屋)にあった食品売り場の出店で買っていた。
あれだけの歴史ある店なのだから、どなたかかつての職人さんにでも、アンヂェラスの製造販売を認めていないのだろうか。のれん分けのように別店で販売しているならば、買いに出かけてもいい。
なくなると聞いて/なくなってしまってから価値がわかるものは、たくさんある。わたしにとってアンヂェラスは、浅草の代名詞のようなものだった。