まさかの、水が飲めない体験をした。
今朝のことだが、定期的に出かけている病院で、めずらしく医師が尿検査を入れていた。尿は平均すると年に1回程度で、血液だけは毎回とられる。そういえば前回「次回はお小水ありますよー」と医師が言っていたような気もするのだが、検査室で紙コップを渡されそうになり、そのときようやく思い出した。「あっ、水かお茶を飲んで、すぐもどります」と、退室。
ところがである。
その病院は最近になって(新型コロナの影響で院内配置換えがあり)自販機スペースを減らしてしまったのだった。すぐに見つけられた自販機は「小銭のみ」で、電子マネーって何それ状態。もしかすると千円札を入れる場所はあったかもしれないが、運が悪いことにわたしは先日から財布の中が一万円札のみだった。普段の買い物をほぼすべて電子マネーにしているためで、何度も何度も「ATMで千円札を何枚か下ろしておかねば」と思いつつも、ずっとそのままだった。
院内を歩けば小規模の売店もあるのだが、そことて電子マネーを扱っているとはとても思えない。ましてわたしは幼少時から親に「小さなお店で朝一番で一万円札なんか出してはいけない」と教えられてきたので、立ち寄れなかった。ペットボトルの水やお茶は120円程度だろうし、1万円札を出して困らせるのはいけない、幼少時から見てきた親の態度にこの年で反するのもどうかという、こだわりのようなものが立ちはだかったのだ。
コロナ禍より以前、その院内がもっと空間を贅沢に使っていたころは、自販機のほかに水だけ飲める(公園に昔あったような)スタンドもあったように思うのだが、もはや見あたらず。
こんな時期でなければすぐ近所のコンビニに行ってもよかったのだが、現在のところ入り口に係員が複数いて、入館チェックをしているので、水を買ってすぐまたチェックされるのも面倒だった。
さてどうしようかと院内を歩いていると、検査室の人に見つかってしまった。「尿をあとにして血液だけでも。それに、もしかしたら尿も出るかもしれませんし、とにかくこちらへ」と呼ばれた。患者の診察予約時間に検査を間に合わせないといけないというプロ根性ゆえだろうが、わたしとしてはドナドナされていく感覚だった。
正直に「水、飲めなかったんです。小銭がなくて」と言うと、「ああ…そうなんですか」と、軽い驚きの反応があった。もしやあの病院ではまだ小銭が必需品なのかもしれない。
幸いなことに尿検査もどうにかできて、診察を受け、会計をして(会計はクレジットカード)、帰りに買い物をして(プリペイドカード2種)、ICカードでバスに乗り、帰宅してしまった。まだ財布の中は1万円札が1枚という、変化のない状況だが、明日にでもなんとかしなければ。