ケチャップご飯というものがあるらしい。
5年ほど前になるが、わたしと話していた相手に間違い電話がかかってきた。まず「あ、知らない電話番号だな」と迷っているうちに、留守番電話に切り替わったらしい。ところがどうやら留守番電話にも音声が登録されたらしいので「何かまじめな用件なら、あとで聞こう」と、言っていた。
そのほんの数分後、また同じ番号から電話があった。「さっきの留守電もまだ聞いていないのに、なんなんだ」と、不機嫌な声で「どちらにおかけですか」と言ってしまったところ、相手がびっくりして、謝りながら切ってしまったという。
そこで留守番電話を聞いてみることになった。
どうやら母親が娘さんに「ケチャップご飯、食べたい? ケータイが見あたらなくて、イエデンからかけてるんだけど」と、録音していたようだ。イエデンからなので電話番号を打ち間違えて、その次はリダイヤルでも押したのだろう。
ケチャップご飯を食べたいかどうかの返事を急いだために、赤の他人に「どちらにおかけですか」と怒られてしまった母親が少し哀れだったが——
それにしても、ケチャップご飯。
ケチャップで炊きこむのか、ケチャップで炒めるのか。炒めるのだとしたら、具はなんだろう。普通は「具」の名前でご飯名が決まるような気がするのだが、具はないのか?
ときどき検索しているが、謎は深まっている。