デリケートな話題ではあるが、記しておきたい。ある俳優さんがお亡くなりになったとき、Twitterで「縊死」が読めない人たちのリプライを見た。
最初は「これなんて読むんです」というリプライを見て、こういう話題なのに調べもせずに公の場でツイートを流すとはどういう神経なのかと思った程度だったが、その後の流れを見て、愕然とした。
どうやら読めなかったうち一部の人は、それを一般的に自殺を連想させるものだと気づかず「何らかの理由(事故や病気など)で亡くなった」と勘違いしたらしい。その方々は、別の人たちから自殺の情報が流れてきたとき「え、自殺だったんですか、最初の発表では違ったのに」と考えたようで、混乱してしまった。わざわざ紛らわしい別の言葉で最初に発表したからには、何か事情があるのだろうかと、ざわついている人も見受けられた。
事務所では、自殺や自死という表現を使わず、それでも人から死因を聞かれることがあるだろうから自分たちから発表してあとは事情を察してわかってもらおうという意図で、縊死という言葉を選んだのだろうとは思う。仮に「死亡」とだけ発表したら詮索があるのはわかっているから、苦渋の決断だったのだと。その表現が最善の選択だったかどうかはともかく、ある年代以上の人には、意図は通じたのではないだろうか。
情報量が多く、伝達のスピードも速い現代の社会では、全員に正しく円滑な情報を届けることは不可能に近い。だが、若い世代が「自分たちの読めない漢字がある」ことを認識して謙虚になったり、伝える側が「少しでも誤解のないように」と、言葉を足して説明する工夫などがあれば、少しでもよい状況になるのではないかと考えている。