今年の1月末くらいから数日おきくらいに、チョコレートを溶かしてはテンパリングや加工の練習をしてきた。理由はただ単に、バレンタインの直前には一般のスーパーでも作業用の大量のチョコレートが安価で販売されるから入手が楽ということと、3月いっぱいくらいまでは、チョコレートを室温で作業するのも苦ではないからだ。
わたしはチョコレートの扱いがヘタで、あまり知識も経験もない。練習するならこの時期だと、せっせと溶かしては固めるくり返しだった。加工はまだまだだが、テンパリングは要領がよくなったと思う。
テンパリングに関して、ネット上での情報や製菓学校などで教えるものは「最低でも300gくらいのチョコレートで練習しましょう、保温が難しいから」というものがほとんどだと思う。だがわたしは120g〜150gくらいでやりたかった。いくら溶かして固めてくり返し練習できるとわかっていても、雑菌がはいりやすくなるので数回ずつにしたいし、できるだけ新鮮な段階で練習と消費をしたかったため。
この数週間の経験から考えて、結論から書いてしまうと、300gくらいを推奨する理由が保温のことだけであるなら、別に少量でもいいように思う。
テンパリングができているかどうか確認をするのに数分〜10分かかるが、その間にチョコレートがさめてしまっても、いったんテンパリングができたものは、弱く加熱しなおすことで(←あくまで「弱く」がポイント)また使えるからだ。高い温度にしてしまうとやり直しになるが、作業しやすい温度まで弱く加熱して溶かせば、テンパリングされた状態は失われない。
三種類の方法で何度か練習をしてみた。
○ ひとつは、大理石を使う方法。
これは温度計も使わないし、慣れてしまえば一番楽だと思うが、少量には向いていないように思う。
具体的には、湯煎で溶かしたチョコレートの一部を大理石の上に流してカードやパレットナイフで薄くのばしては練り、固まったところを熱いチョコにもどしてよく混ぜ、状態を均一にする方法だが、作業量の全体が少量すぎると、大理石で練っているあいだに、もとのチョコが冷えてしまう。
○ ふたつめは、溶かしたチョコレートに、ただ刻んだ状態のチョコレートを入れて、混ぜながら温度を下げる方法。
これは、量がかなりあるときに使うと効果があるのかもしれないが、150g前後では、かえって難しかった。
○ 三つめは、もっともよく知られた方法。湯煎で溶かしたチョコレートのボウルを、冷水につけてよく混ぜ、それが均一になった状態で、ほんの数秒だけ熱い湯煎にもどして、よく混ぜる。
慣れれば別に温度計などは要らない。溶かしたチョコレートの色がとてもよくなって輝きがある状態で、さっと冷たい水に浸けて、ねっとりとしてくるまで均一に混ぜる。そして「このままの状態だと塗ったりかけたりするのがたいへんそうだな」という個体感が出てきたら、湯のボウルにまたつけて数秒間よくかき混ぜ、「この状態なら塗ったりかけたりできるぞ」と思うやわらかさになった段階で、パレットナイフかカードの先に薄く塗って、乾きが早いかどうかを確認する。テンパリングがうまくいっていないときは、乾きが遅いし色も悪い。
自信がないときは、同じチョコレートを使って何度でも作業しなおして、どういう状態がきれいなのかを何十回でもやってみると、身につくかと思う(偉そうに書いているが、本に書いてある通りに3回やるより、自分の手と目で30回やったほうが身につくこと請け合い ^^;)。