悪い予感は当たる…Netflix「カトラ」

 1年くらい前から、1話と半分だけを見て「この暗さに耐えられない」と放置していたのが、Netflix「カトラ」。アイスランドを舞台にした「噴火で灰まみれになった土地に起こる不思議な出来事」の話である。

 1年くらい放置したのだが、なにかのはずみに残りを少しずつ見てみようという気になった。

 ネタバレにはならないだろうという範囲で、内容を書いてみる。
 大きな噴火から1年で、地元に長く暮らす住人たちと火山研究の科学者たちを除き、観光客などはやってこない「ど〜んよりとした静かな街」に、灰のような泥土のようなものにまみれた真っ黒な人間たちが、ひとり、またひとりと、やってくる話である。

 死人が蘇った系の話ならば、この10年くらいはとくに、各国のドラマでよく描かれている題材である。だがこの話では、死人ともいいきれない立場の人が含まれる。そういう点ではイタリアのドラマ「鐘の音が聞こえたら」のような話の流れにも近いももがあるかもしれない。

 全8話なので、長い中断ののちに5話まではゆっくり見てみたのだが、5話のラストで「あ、これはまとめて見てみようかな、わけがわからなすぎる」と考え、半日で残りの3話を見てみることに。

 謎がどこまで解説されるのかを期待していたのだが、それ以前の問題として、出てくる人間たち(とくに男性)で、いい人がいないことが気になりはじめる。なんなのだこいつらと思いたくなるような人間が終盤以降は増えてきて、目に余る。さらには、アメリカのドラマならこれはなかなかないかと思うような子供の犯罪と、最後にその子供がどうなるかが、ざっくり書くと過激な分類。「よく子供にこれやらせたなあ、撮影のあいだにカウンセリングとかしたんだろうな」と考えさせられた。

 で、謎解きなのだが…いや、これ、う〜ん。わかったような、わからないような。
 地元の伝承を聞いた科学者が事態を解明しようと関連ありそうな場所を再調査し、不思議なものを実際に見て「これこれこういうことではないか」と自説を披露するのだが、ドラマ全体の雰囲気や世界観と、その「科学で突き止める」という登場人物の姿勢は、うまく調和していないような気がした。

 ネタバレになってしまうので具体的には書けないが、ひと言だけ。ラストで「もっとたくさん出てくる」ことを匂わせているけれども、上述の科学者の説や主人公のひとりであるグリマの解釈が正しいとするなら、たくさんは出てこられないはずで、街の人口より多くは出てくることが難しいだろう。住人がもどってきたり観光などで賑わいが増した場合はわからないが。

 最初の予感「やたらと暗そう」は、最後までその通りで、当たっていた。だが見なければよかったのかというと、妙な描写や登場人物により「いちおう次を見てみようか」という気にさせられたのは自分であり、それがおそらく制作側の思うつぼなのだろう。

 それにしても、つくづく「いい人がほとんど出ない」ドラマだった。

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。