田舎の家は周辺がすべて水田で、夏はカエルの鳴き声が大きかった。近所の兼業農家の方々が、自家用を中心に隣近所にも少し販売するため、米をそこで作っていた。
秋になると収穫した稲がきれいに稲架かけ(はさかけ)で天日干しされていたが、その周辺で子供同士が追いかけっこをして遊んだりと、おおらかな時代だったと思う。
そのあたりは現在、ご高齢となった所有者らが稲作をやめて、かなりの部分が太陽光発電のパネルに埋もれている。
東京に出てきて数年くらいは、田舎の親がわたしの食費を案じて米を送ってくることがあった。スーパーで売られているようなものではなく、ご近所から買ったものを適当な袋に詰めたものだ。粒も大小が混じっていることがあるし、異物も多少はあったが、当時はそんなことは気にせず、ありがたく食べていた。そしてそのころのわたしは、それが天日干しの美味しい米を食べていた最後の日々だとも気づかないまま、やがて東京で米を買って食べるようになった。
それから数年して、何かのはずみに、田舎のものか買ったものかは忘れたが天日干しの米に遭遇した。炊いてみて「こ、米というのは品種は二の次で、もしや天日干しかどうかのほうが味に関係あったのでは!!」と、衝撃を受けた。だが銘柄米で天日干しといったら、そうそう買える値段ではなかったと思うので、その場はそれで終わった。
そうするうちに自分でパンを焼いたりパンを買いに行くことが趣味になり、朝はかならずパン食になった。そのほか1回くらいは麺も食べることがあるため、米の食事は平均すれば2回に1回か、それより低くなる。頻度が減っている場合はあまり何キロも買えるものではないが、遠くから送料をかけて通販することを考えれば、やはり5kg以上ということになるかと思う。(あるいは、ごく少量のみメール便とか)
この商品は楽天。長崎から送料込み3000円。美味しそうだけれど、やはり5kgで3000円か〜。仕方ないかな。
秋になったら、1回くらいどこかから、天日干しの米を買ってみたいと思う。