今日は4月ころに劇場公開されたという日本映画「ヴィレッジ」を、ネット配信で。
歴史ある村でありながら産業がないためにゴミ処理場を受けいれ、そのときに住民の反対運動と対立で大きな事件が起こったことを匂わせつつ、物語がはじまる。かつては由緒ある村だったことは、村で能の舞台を演じる祭りがあったことでもじゅうぶんにうかがえるが、現在は村の実力者も加担した不正産廃の処理もおこなって、ダークな路線まっしぐら。
役者も強面の古田新太、杉本哲太、女性では若手実力派の黒木華を揃え、さらに今回はどうも善玉の役らしい中村獅童。主演の横浜流星という人はまったく知らなかったが、違和感をあえて書くなら閉塞感ある田舎町(しかも存在が疎ましがられている設定)で、こんなに整った顔の若者がいるというのは作品としてどうなのかと。最初は表情もやさぐれていて髭も生えていたが、それを差し引いてもなお、かなりの都会顔だった。
さて、村の実力者の家に目を光らせ、現在は医療器具がないと生活が難しい老女(ぱっと見で90代)が要所要所に出てきた。台詞はほとんどないし、補助がなければ移動も難しいので勝手に誰かに近づいてしゃべることもない。ただひたすら眼力で「わたしには言いたいことがある」というのを伝えてくる(にらみつけてくる)ような場面が多い。
このおばあさんは、いったい誰なのかと。
悪い癖だが我慢できなくなり、作品を見ながらネットで検索してしまった。なんと、木野花(きのはな)。舞台出身だがCMやドラマなどでお茶の間にも浸透してきた女優さんである。
まったく、わからなかった。
まだ70代のはずというのに、それがこの「お迎えが来そうだがそれを跳ね飛ばしそうな眼力のおばあさん」を見事に演じていた。
この映画、最後のほうでちょっと野村芳太郎の監督作「八つ墓村」を思い出した。わたしの好きな作品であり、ラストの炎はなんとも思い出深い。
ヴィレッジの作品内容としては、ふ〜む、そうですか、といったところ。
同名で20年前のアメリカ作品は、いちおう意外性もあった。タイトルが同じというだけで関連性はないものの、こちらはちょっと…である。