漢字を言葉で説明する話

 ある人物の名前を漢字で書くとどういうものであるかを、話していた。家の中だったので、おたがいに(出す気ならば紙とペンくらいはあったのだが面倒で)口頭である。

 その人物の名前には「ツネ」がはいる。そのツネの字の話だ。

「こうじょうてきに、の、こうの字だね」
「こうせいとか、わくせいとかいうときの、こうせいのこう」

 おわかりだろうか。正解は「恒」であるし、上の会話でもおたがいに同じことを言ってるのだが、おたがいの頭のなかにはたくさんの漢字候補が飛び交う。そしてどちらにもわかる漢字として、極めつけが出た。

「福田恆存(ふくだつねあり)のツネだね」
「そうそう」

 実際には福田恆存は旧字体なのだが、わたしたちの世代が文庫本でお世話になっていたころは、略字体がけっこう使われていた。
 こういうのが通じるとき「同じような環境で、同年代であるということ」が、どれほど気楽かがわかっておもしろい。

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。

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