1年に1回くらいレモンの砂糖漬けを大量に作ることがある。とれたシロップを飲んでカスになったレモンをタッパーに入れて冷蔵庫に保管し(数ヶ月以上砂糖漬けにしていたものなのでよほどのことがないかぎり黴びない)、清潔な容器にそのレモンと家にある果物やレーズンなどを入れて水に浸けておくと、パン酵母(液種)が取れる。
だがこのレモンがくせ者で、もったいないからとレモンがあるあいだは何ヶ月でも使いつづけるのだが、一度に多く入れると酵母が安定せず、少なく使えばいつまでたっても冷蔵庫から減らない。しかも作ったのちにレモンが多めの酵母(液種)は「水を多めに入れて薄めないと、パン酵母として安定しない」ので、ますます使用量が減る。
初夏のころにようやく去年に作ったレモンシロップのカスを酵母として使い終えたが、その後はレーズンや家にたまたまあった果物の隅っこなどを入れて液をつないでいた。そして8月後半からいよいよりんごを使用。最近のお気に入りはニュージーランド産の小ぶりなりんごである。夏まで変えるjazzリンゴ、それ以降も買える小ぶりな品種の4個セットは、1個をカットして少しだけ味見をしたら、残りの大部分をレーズンなどと混ぜて水に浸けておくだけで、あっというまによい酵母になる。入れるときは刻みをたくさん入れて水に触れる面積を多くしたほうがよい。だがあまりに細かいと液をすくって使うときにカスがパン酵母にはいってしまうので、適度がよい。
りんごは、ほんとうに安定する。わたしは同じ液が減ったらカスを漉して次の果物やレーズンを入れる方式だが、レモンの影響がなくなってレーズンとりんごが中心になった途端に、すさまじく安定するようになった。
これは前日の朝に液種と小麦粉を混ぜて発酵させ、それを使って夜にパンをこねたもの。大きめタッパーに入れて冷蔵庫に保存し、25日の夕方に軽く電子レンジで温めてから(発酵モードで1時間程度)、ガラス容器に入れて焼いた。薄力粉を配合したにしてはもっちりとした、舌触りのよいパンになった。