山で遭難した話ではなく、すぐ近所の住宅街である。外出の帰りに、夕方ですっかり日が暮れて「こっち(住宅街)から歩いたら、ショートカットになるのでは」という話になった。ほんの少しだけ時間を稼げるだけなのだが、おもしろそうだからと、住宅街にはいったのだが——。
少しして「こっちでいいんだろうか」という話になった。スマホでピクミンのゲームから地図を見て「あ、こっちにまっすぐ歩くだけで○○に出るのか、ほんとかな」と、半信半疑で移動。昼間なら地図も見ずに勘で歩ける場所である。だが昼なら遠くにうっすら見えているはずの目印も夜は目にはいらない上に、住宅街は予想外に道が暗く、スマホを持っていてよかったという話になってしまった。
21世紀の東京の住宅街でこれなのだから、数十年前に田舎の道がどれほど暗くて怖かったかなど、もう思い出すこともできないほどだ。東京では自転車に無灯火のまま乗る不届き者がいるが、当時の田舎でそれをやったら、おそらく危険で走れなかった。