荷物が来る予定のときは、だいたい情報を共有しているので、玄関に「配送業者のものですが」という、絵に描いたような怪しい言葉の人がやってきたとき、「なぜこんなに怪しいことを言うのか」と思ってしまった。
その後「どこからの荷物ですか」と尋ねると「ええと、外国ですね」という。声があまりにも普通だし、昼間だし、玄関のドアはチャイムを鳴らした場合は録画されているはずなので開けてみて殴られても犯人はわかるだろうからと、とりあえず出てみることにしたところ、家族が出るという。そうだ、こちらはふたりいるのだから、ひとりが何かされても大声を出したり通報したりできるぞと、後方から聞き耳を立てることに。
ふたたび「配送業者のものですが、外国からのお荷物で」と言っている。ラベルを提示したのでよく見たら、同じ敷地内(住所は同じ)の別のお宅だったのだそうだ。
よく考えてみると、その人は正直すぎるのだろう。たとえ自分がその配送業者の正式な社員ではないにせよ「○○(配達業者名)の荷物です」と言えばいいのに、おそらく「社員じゃなくて委託だから社名を名乗っちゃいけないかも」とか、しちめんどくさいことを考えたのではないだろうか。おかげで怪しさ3倍くらいの話になってしまった。わたしはもし、自分ひとりだけが在宅していたのなら、ドアを開けるのが怖かったかもしれない。
同じ敷地内とはいえわが家のほうが道からよく見えるドアであることや、荷物が普段から多い家ということで、とりあえずこっちに聞いてみようということだったのだろうと思う。