味の素はもう何十年も買ったことがない。これは世間で言われるような「味の素はどうのこうの」という噂話レベルのこととは関係なく、買おうという気持ちもないし、必要がないのである。逆に言うと、どんなときにどういう風に使うのかも忘れてしまった。
だがたまに使う調味料には味の素らしき調味料がすでに含まれているだろうから、ぜったいに摂取したくないなどの否定的な話ではない。ただ、味の素を単体で買ってきて何かの料理に使ったら「なんでも味の素の味で仕上がってしまう」のが嫌だ。
たとえば蕎麦やそうめんをゆでたとき、つゆを作るのが面倒なら市販のめんつゆを割って使うし、おでんを作るにも材料の半分くらいは市販のおでん種セットを使って残りを自分で足す(具材もつゆも)から、味は混じる。市販のつゆや調味料には味の素的な商品がはいっているのはほぼ間違いないが、結果としてうまければそれでいいと思う。
子供のころは料理ができずに、親の留守中に何か食べるときには醤油だけでは味が尖るからと、味の素を入れてみようかなどの使い方をしていたはずだ。たとえば「冷や飯にお湯と醤油と味の素」の組み合わせで、勝手に食べていた。それをすでに一生分くらい食べた気がするので、もう単体でわざわざ味の素を買ってきて使うことは考えられない。あの味はよく覚えている。
ついでに書くならマーガリンも同じで、やたらと食べたのがネオソフト(当時はそれでじゅうぶん美味しかった)。だからいま、原材料を知る機会がないまま提供された焼き菓子やパン類にバターではなくマーガリンが使われていると、味でピンとくる。事前に表示されていて値段が安いものならそう納得してマーガリン使用製品を食べるが、とくに原材料を知らせることなく高級そうな雰囲気で目の前にやってきた菓子がマーガリン使用だと、ああそうですかという気分になる(←いただきものなら何も言わずに笑顔で完食するが、自費なら次回については考える)。
というわけで、うまみ調味料(味の素)も、マーガリンも、そうわかっていて出される分には、わたしは文句は言わない。だが相手がごまかして出してくる場合は、けっこう気にする。