去年の今くらいの時期だが、田舎の親はもしやそろそろヤバいのかと(本人も知り合いらに電話で「そろそろもうだめだ」と伝えまくっていたため大騒ぎになった)、田舎にはほぼ毎日電話をしていた。母は介護サービスの追加や精神的な支えも得られてその後に持ち直し、現在は数日に1回程度短く通話をするのみとなった。……ところが、今日はひさびさにびっくり。
まず、わたしは「長話になるかも」というときには、家族の携帯を借りる。そちらは話し放題の契約になっているためで、わたしのほうは時間制限があるのだ。1週間くらい電話をしていなかったので長くなるかもと思ったわけだが、ほどなくその電話に答えたのは、男の声だった。兄によく似ているが母の携帯である。やばっ、母に何かあったのかと思うが、もしやわたしがかけ間違えたのかと「これ、お母さんの携帯だよね」と尋ねた。
すると、あちらも声がやわらぐ。どうもおたがいにビビっていたらしい。なぜかというと母の携帯にはわたしの番号が登録されていて、それ以外なので「知らない人から電話が来た」と、おそらく兄は構えた。ところがわたしの声なので安心したというわけだ。どうも母は「さっき転んだので、いま気が動転していて電話に出られない」という。「心配はしなくていいから、じゃ」ということで電話は切られた。
田舎の小都市で市街地から大きく離れていると言っても、幸いなことに在宅医療と在宅介護のサービスが受けられる母は、困ったことがあったらまず看護師さんのいる事務所に電話をすると、相談に乗ってもらえる。今回も「転んだ」と伝えたので、脳しんとうを起こしていないかは、確認しに来てもらえたと、しばらく時間をあけたのちに本人が電話してきた。頭部をどこかにぶつけたので見た目は腫れているそうだが、脳は無事らしい。よかった。90過ぎのため、何事にも用心が必要だ。
田舎の家は自家用車のある人ならおそらく1時間半も運転すれば到着できる場所なのだが、電車とタクシーを利用すると待ち時間や乗り換えなどを考えて片道3時間以上かかる。それを言い訳にして、わたしは年に1回の日帰りをするかどうかというレベルである。去年の今ごろ「えっ、ヤバいのか」と現地に1時間半滞在というスケジュールで出かけたが、次も何か企画しておいたほうがいいかもしれない。