20年、いやもっと前かもしれないが、近所に燕三条の金物を持って出張販売に来た人たちがいた。そのとき何気なく砥石を買った。
わたしはその辺で買えるような普通の包丁を2本、製菓学校の用事で買った果物向きペティナイフ1本くらいしか持っておらず、普段から砥石はその3本に使っている。それ以外のナイフ類は波刃のパン用が数本であり、波刃は普通の砥石では研げないので、普通使いの3本をたまに研いできた。
以前は「よっしゃ、今日は包丁を研ぐ」と決めて、気合いを入れて研いでいた。自分なりに工夫して時間をかけていたが、気合いを入れねばという気持ちが自分のなかで負担になってきたのか、やがてたまにしか研がなくなった。
ところが最近になって心境の変化で「気合いがはいってなくても、こまめに研いだらいいのでは」と考えるようになった。そして週に1回くらい、ほんの少しの時間で包丁を研いでいた。
そして今日である。
おでんの支度のため、夜遅くに大根の皮をむこうとしていた。分厚く輪切りにした大根の周囲に、包丁を入れてするっと…ああ、楽にむけるではないか。まったく引っかからず、するっと。
これは大根がわりと新鮮だったということもあるのだろうが、手抜きでもこまめに研いでいるからかもしれないと、何やらうれしくなった。
ちなみに千円くらいの砥石である。経年劣化で中央がへこんできているので、まっすぐではない。だがまだ使える。これからもがんばって研ごうかと思う。