2009年公開(日本は2010年)の、アメリカ、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ合作映画。
南アフリカのヨハネスブルクが舞台。大きな宇宙船がやってきたが故障してしまい、中にいたエビそっくり宇宙人たちは難民として地球に暮らしはじめる。猫缶と暴力的ないたずらが好きな、困った宇宙人たちだ。
20年以上のときを経て、スラム化した場所に宇宙人口は増えるは、人間とのトラブルは絶えないはで、もっと広い場所にいっせいに移動させようともくろむ多国籍機関(実際には武器を取り上げる目的など裏事情あり)が、あくまで表面上は友好的に、エビたちに移住のサインを求めに現地入りする。その責任者をまかされたのが、主人公のヴィカスという男性。
だがそのスラム化した土地には、ある賢いエビのクリストファーとその幼い息子が、上空の宇宙船にもどる準備を着々と進めていた。そこにやってきたヴィカスは、危機管理意識の薄さと中途半端な好奇心から、親子が集めていたある液体を浴びてしまう。結果として、彼の体には異変が…。
宇宙船から降りて難民になったエビたちの大半は、アリでいえば働きアリで、司令官のような存在がないという設定。そのためか母船のほうはとんでもなくハイテクでいろいろなことができそうなのに、地上に降りている彼らはそれを生み出した種族の知性をあまり感じない、平凡で粗野な印象。人間たちをどうこうしてやろうという気持ちもなく、高く売りつけられる猫缶をめぐって小競り合いをしている。
最初はお気楽だった主人公のヴィカスは、体の異変をおもな原因としてエビ社会を隠れ蓑に日々を送ることになる。そしてクリストファー親子との交流を経て、とことん強くたくましい、猛り狂うキャラクタになっていく。終盤での戦闘シーンと彼の表情は、実に見応えあり。
つかみのよい話でテンポもよく、これは続編も作れそうだ。