ネタバレにならないようにこの本について書くのは、どうしたらよいものだろうか。とにかく、ひさびさに「ああ、こういうのに当たっちゃったぁ…」の気分。
幼女連続殺人(未確認の失踪も含む)の犯人像を絞りこめずにいる警察の苦悩を、おもに捜査一課長であるエリート警察官の立場を中心に描く話。
文庫になってからでさえ10年以上よく読まれている話らしいので、興味をもった。
作品と読み手の相性、作品の発表年代と実際に読者が読んだ年代の差などがあるかもしれないが、少なくともわたしにとっては、想像通りの展開。著者のデビュー作であり93年の作品というから、当時はとても目新しく、この展開に驚く読者も多かったのだろう。
読みはじめてまもなく「これってこういう話かな? だったら読みたくないなぁ」と、否定したくて読みすすめたものの、やはり想像はストライクゾーンで、まったくぶれない。だがさすがに3分の2ほどいった段階で「これはあまりにも当てはまりすぎだから、わたしのような読者をさらに引っかけようとして、何か用意をしているのかも」と、疑念をかろうじて払ったが、最後でやはり予想どおりに落ちついた。直球すぎる。。。(涙)
楽しい話ならば、予想とドンぴしゃでもまるでかまわないのだが、当然のこと付随する「こうなるとしたら途中でこれが起こるはずで」という展開が、すべて暗い。それでもやめずに読んでしまうのは、ある意味で作者の筆の力だったのだろうか。
これほど「まさか、まさか」と思いながらも小説を二日間で読んだのは、出だしの二行目でストーリーがぜんぶ予測できた「ハサミ男」以来。ハサミ男は本屋で立ち読みして「まさかなぁ?」と思いつつ購入し、家で読んだらその通りだったのだが、あれもむなしかった。