2009年の日本映画、主演は小栗旬。タジョウマルとはどこかで聞いた名前と思ったら、芥川龍之介の「藪の中」を原作とした、いくつかの映画に出てきた盗賊だ。そしてこの映画もまた「藪の中」をモチーフとしている。
高名な役人の家に生まれ育った兄弟と幼なじみの少女、次男(小栗旬)が情けをかけて一緒に育てられることになった貧しい少年。彼らの幸せそうな子供時代から話ははじまる。
時は過ぎ、少女の父が亡くなる。その父が持っていたとされる財宝をめぐり、さまざまな陰謀がはりめぐらされる。少女と次男は都を追われ、やがて多襄丸(たじょうまる)という盗人との出会いをきっかけに、離ればなれになる。
60年前の世界的に有名なモノクロ映画「羅生門」、97年に天海祐希、金城武、豊川悦司らが演じた「MISTY」、そしてもしかしたら、村上弘明とブリジット・フォンダが出た「アイアン・メイズ」という名前のアメリカ映画も、見たかもしれない。
(関連作品は Wikipedia:藪の中 へ)
映画化作品の共通する特徴としては、登場人物らがみな「これこれこういう事件だった」と、違うことを言う。見ていたことを人に話すとき、自分に都合の悪い部分をそれぞれが少しずつ隠したり、ごまかすからだ。なかなか真相が見えない。
…で、この作品なのだが、途中で中だるみを感じることもあったものの、主要な登場人物である姫がとった一連の行動についてのみをいうなら、きっちりとした説明がついている。ああ、なんだ、ここまで説明してくれるんだと、親切さが意外に思えた。
ただ、ストーリー的に、こりゃないだろうという場所は多く…(^^;。
主人公が死ななさすぎとか、あの「谷」は、なんなんだとか、登場人物らをひと言で全否定してしまう腹黒い将軍…こんな強力すぎるキャラクタ、ありなのか (^^;?
とりあえず、時間のあるときに、ぼーっと見るという程度の楽しみ方がおすすめ。